歩けない猫「どん」との出逢いから別れまで-2-
病気を抱える猫
「下半身麻痺」という彼の障害は当然のごとく、多くの病気を引き起こしやすかった。
うちに来てからも、定期的に病院通いをする生活。
寝たきり?なので床ズレはもちろんの事・・・膀胱炎に腎臓の弊害etc・・・。
入退院を幾度となく繰り返し、その度にK先生に手術・治療を施してもらって、元気を取り戻す「ドン」。
先生曰く
「ドンちゃんは、内蔵系が異常に強いんだよね~」
おかげで、いろんな病気を併発?しても、手術後、比較的早く元気になったり・・・。
抜群の生命力(回復力)を持っていた。
そんな生活が2年近く続いていた・・・。
最近では、もうすっかり病院へ行くのがイヤになっていた「ドン」・・・。
その気配を察すると「ニャーニャー(行きたくないよ~)」と訴える・・・。
あまりに病院をイヤがる「ドン」がかわいそうで、最近では連れていく前に、先生に症状を話し・・・
「ではこれを・・・」
・・・と、お薬のみを処方してもらう事も多かった。それで回復に向かうことも多かったから。
6.2匹の猫の因果関係?
少し食欲がなくなった「ドン」。
ちょっと下痢気味だったので、いつものようにお薬を出してもらって
飲ませると、少し落ち着いたので私は安心していた。
ほぼ同じ頃、同棲中の弟達が飼っている猫「ラヴィ」の体調がおかしかった。
全然食欲がなく、いつもは知らない人を見るとすぐに威嚇する弱虫猫?なのに、それもしない。
まだまだ遊び盛りの「1歳」なのに、一日中ずっと寝てばっかり・・・。
そんな事は初めてだというので、「一度病院へ行ったら?」と
K先生を紹介し、検査してもらうことになった。
点滴しても、なかなか状況が良くならない。
胃が異常なくらいに荒れているという事実以外、これといって
ハッキリとした原因がわからない。
先生も
「こんなケースは初めてですよ・・・」
とかなり怪訝な顔をしていたそう。
検査で飲んだバリウムがなかなか出てこないのでこれはおかしい!
極めて危険な状態?とのことですぐに入院し、
「原因がわからないまま回復しないので、お腹開けてみようと思うんです・・・。もしかしたら、何か詰まっているのかもしれないですから・・・」
急遽ラヴィが手術?することになってしまった!
そんなに悪かったのか・・・・。とかなり悲痛な思いでいたけど
手術日、いざ麻酔を・・・という時になって、直前にちゃんと「便」も出てくれ、何かが詰まっている可能性がなくなったので、手術は中止に・・・。
その後、まるで今まで一体なんだったのか??という程 元気になり、退院し・・・。
いつもの怒りん坊「ラヴィ」に戻っていった・・・(笑)
未だに先生も首をかしげています・・・。
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その数日後。
仕事から帰ると、ちょっと「ドン」に元気がなかったような気がしたけど
こちらからの呼びかけにはちゃんと答えるし、
この程度の体調不良は よくあったので・・・
「まぁ・・・いつもの事かなぁ・・・」
と、さほど、気にせずにいた・・・。
でも、その翌朝。
明らかに昨日よりも元気のない様子の「ドン」・・・。
病院連れて行かなきゃ!!
とっさに思ったけど、今日は病院の休診日。
明日 連れていくしかない・・・
心配しながらも、仕方なく仕事に出て・・・。
会社から帰ると・・・。
「ドン」は、すっかり憔悴しきった様子!!
檻から出してあげてみても、グッタリして力がない!
休診日だったけど、もし先生が居たら診てもらおうと・・・
すぐに病院へ行ってみる。
ラッキーな事に先生は在宅で、状況を説明すると
「すぐに連れて来て下さい」
先生なら、きっとそう言ってくれると思ってました!(心の声♪)
すぐに「どん」を迎えに行き、病院へ!!
尿毒症!?
休診日にも関わらず、「どん」の診察に快く応じてくれた先生。
奥様もエプロンをして、一緒に処置にあたって下さった・・・。
(本当に、ありがとうございました・・・)
ちょっと様子を見てすぐに・・・
「尿毒症の兆候が見られますね・・・すぐに点滴と、検査をしてみますので待合室で待っていて下さい・・・」
1時間近く、待っただろうか・・・。
ちょっと恐い表情で出てきた先生が検査結果の紙を出し・・・
「お待たせしました・・・・
この数値が、異常なんですよね。。。
普通だと20台の数値なんですけど・・・
ほら、ここのところ・・・140以上になってるでしょう?
詳しくはもっと、きちんとした検査をしてみないと
何とも言えないですが・・・
今は、点滴で落ち着いています。
とりあえず、今夜一晩、お預かりして
明日、精密検査で調べてみようと思いますので・・・」
先生の説明を聞いた後、
入院承諾書にサインをして家に帰った。
心配はしていたけど、これまでにも何度か・・・
似たような状況は経験していた。
先生に任せてさえいれば、きっといつものように
元気な「どん」に戻ってくれると信じていた。
この時は・・・。
突然のできごと
翌朝・・・。
プルルルル・・・
1本の電話がなった。
こんな時間に・・・
ま、まさかっ!!
私の悪い予感的中で・・・
それは「K先生」からだった・・・。
「朝、早くから、スミマセン・・・。
実は、朝になって容態が急変しまして・・・
けいれん がはじまっちゃったんです・・・
今 すぐに来てもらえないでしょうか・・・」
「けいれん」という言葉を聞いたその瞬間に、
今後 起こるかもしれない事態を悟った。
7 別れの涙
この時は、まだ実感が沸かず・・・
この「事実」をしっかりと把握できないままでいた。
「ドン」をお迎えに行くと、すでに病院の女性スタッフが
出勤して、彼のお世話をしている最中だった・・・。
少したって、ドライヤーの音が止まった。
「中へどうぞ・・・」
通された診察室・・・。
シャンプーされてフサフサの毛。
かわいらしいバスタオルにくるまれ・・・
穏やかな顔の彼が横たわっていた。
そっと触ってみると、まだ暖かかった。
「ニャーン」
そう言って、起きてくるような気がした。
「ドン?ドン!!」
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