18  統一試験6ヶ月前!

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この頃のもいける娘は多少苦しくはあったでしょうが、一番燃えていた時
ではなかったか。

帰国子女提出書類にある、「現地での大学資格試験結果」も考査に含ま
れますので、少しでもいい点数を出す必要があります。

彼女のポルトガルの大学コースは心理学を選んでいましたから、統一試
験科目は生物、地学、数学、ポルトガル語、心理学の5教科です。
日本の大学受験には、この結果にポルトガルの高校3年間の成績結果
も提出します。

「ちょっと予算を立ててみよう。」と、夫がある日、わたしに話しかけて来ま
した。娘の、日本へ行きたいがための真剣な取り組みに、ようやく彼は諦
めがついたのでしょう。

この日、わたしたちはいったい最初にどの程度の費用がかかるのか、年
間どれくらい生活費が必要なのか、どの程度まで援助できるのかと、数字
をはじきだしたのでした。

いくら娘が、「バイトとおっかさんの援助と奨学金でがんばります!」と言っ
たところで、日本での現実は甘いものではない。

① 奨学金(この時点では日本学生支援会=旧育英会に申請できる資格
  があるとは思っていなかったので、この場合の奨学金は大学奨学金で
  ある)がもらえるとの保証は、ないではないか。
  (母:その通りだが、今それを考えてなんとする)
② 生活費全体のバイトとなると、学業がおろそかになる。
  (母:いかにも)
③ 宿はどうするのだ?
  母:宿は、代々木ゼミナールに通い受験が済むまでは、独り住まいす
  るなどの経済的余裕なし。  
  申し訳ないが、所沢の妹宅に一時下宿を頼むことになる。
  その妹も実は次男が大学受験を抱えていたのでした。

この3点を夫は指摘しましたが、奨学金はもらえるとの前提に立たないと、
日本の大学受験は無理なのであります。ですからして、この点は、「いや、
大丈夫。もらえるはず!この本にそう書いてあるもん」と、吉永氏の「ただ
で大学を卒業させる方」の本を見せ、少々誤魔化した。

わたしたちの結論:
    ① 奨学金は授業料になる。
    ② 毎月の生活費仕送りは、夫とわたしが半分ずつ出す。わたしの
    土曜日講師パート代全額がそちらへ回ることになる。
    ただし、それだけでは足りないはずであるから、不足分はもいける娘
    が学業に支障をきたさない程度のバイトで補う。
    
  ③ 入学時の費用は、夫とわたしが持つ。
    なけなしの我がヘソクリが飛んでしまうのではあった。

これで整いました。
もいける娘、統一試験半年前です。

今日はこの当時のわたしこと母親の日記をば^^

 

おっかさんのどうでもいい話

少し寒くなったせいか、近頃は眠りの浅いわたしが熟睡。夫と
娘を朝送り出すのも忘れて、ひたすら寝こけていることが、まま
ありまする。

今朝がそうで、ハッと目が覚めると、家の中がしーんと静か。
5匹ネコたちはみなわたしのベッドではべっております。
これで二人がすでに出動してしまったことが分かるのである。

時計に目をやると8時ちょっと過ぎ。起こしてよね、お二人さん、
と思いながら、10時半からは日本語があるし、ヨッコラショ、と
起きだして、シャワーを浴び、ベッドを整え、いつものごとく朝刊
を読むためにpcをスイッチオンにして、台所へ。

すると、台所の白い食器棚の扉に、A4サイズの紙がペタンと
貼られて垂れ下がっておる。
ド近眼のわたし、「なんだろか?」と思い、近寄ってみると、

 「気がむきましたら、サンドイッチでもどうぞ」

と、メモってあります。

そうです。もいちゃん、朝ごはんを自分でちゃんと、ツナと炒め
たまねぎ入りのサンドイッチを作って、食べて、おっかさんの分
も置いていってくれたのでした。

ホクホクと、ぜいたくな、嬉しい朝一番でありました。

解説:ポルトガルの朝食はいたって質素。カフェオレにパンのみ。
    もいける娘、本ででも読んでのでしょう、受験生は朝食を
    しっかり食べて体力をつけるのも勝負のうち、と。
    自分でと色々に、ある日は味噌汁を、ある日はチャーハン
    をと朝から作って食べて登校していたのでした。
    
    怠け者のおっかさんは、本人任せです。
    何事も自分でしてこそ、ガッツを生み出すのだと誤魔化す。

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19 父と娘の会話

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