リアルな「ガウディ計画」の話 〜新たな製品開発編〜

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TVドラマ『下町ロケット』が終了してしまいました。本編が終わるまでにもう少し話を進めておきたかったんですが、、、。それでは入社2年目のお話をさせていただきます。なお、TVドラマの様な慰労関係の闇の部分の話が出るのはもう少し後からになります。


 入社1年目の終わりごろに、動物実験で大きな失敗が起こり、プロジェクト自体が頓挫仕掛けた訳ですが、正直この失敗から約半年間の間に行った試作品作成、その評価、考察、次の試作品への課題や改良点など、仕事をした記憶がほとんどありません。

 だからと言って、サボっていた訳ではないんです。

 しかしながら、構造的な欠陥を改善するための打開策が全く見つからず、惰性的に仕事をしていたのか、今思い返しても何も出てこないのです。

 ただし、この時期社長より

社長
今後君が開発した新製品を特許申請する際に必要となるので、今後作った試作品、実験した試験データ、それらに対する考察や、改善点のアイディアなどは全てノートに記載すること。

という指示を受けていたので、後日このノートを見直したことがあるんですが、毎日、毎週、何らかの課題を見つけては試作品の作成、評価実験、課題の抽出という作業をしていた記録があるので、結果が出ないなりに、必死に足掻いていろいろな事をしていた様なんですが、記憶として残っていないんですよね。


 ただ、どちらにしても具体的な改善案もなく、目に見えた良好な結果もなく、だからと言って打開策につながる様なアイディアが見つかるわけでもなく、無い無い尽くしの半年でした。


 そんな暗黒時代に終止符が打てたのは、とある書籍を見た事がきっかけでした。

 その中に書かれていた現象が、今使用している新素材でも起きないかどうか試した事がきっかけです。その時は試したからと言って、それがいい結果につながるという保証もなく、もし結果が出たとしてもその現象を試作品に転用できるかどうかもわからないという状態だったので、正直「暇だからやってみよう」という程度でした。


 試験用のサンプルを作成し、書かれていた現象を起こす状況を作ってサンプルを試したところ、、、予想以上の現象を起こしてくれました。それこそ、『この新素材ってこの現象を実現するために作られたんじゃないの?』と疑いたくなるレベルの現象です。すぐにサンプルを持って社長室に向かい

社長すみません、ちょっとこれ見てもらえませんか?
社長
どうした?
ちょっと面白い実験をお見せします。

で、実験室で行った同じテストを披露すると

社長
これは面白い、この現象を使って試作品作れるか?
今までの形状では無理なので、まったく新しい構造を考えるところからのスタートになります。
時間は掛かるかもしれませんが、実用性がありそうなサンプル作りを始めます。
社長
とりあえず、このサンプルと性能はなくても構わないので、いまある他社製品に似せたものでもいいので見せ見本を1つ作ってくれ。
それを持ってお医者様のところへ行こう。

というわけで、現象再現用のサンプルと、見せ見本を1つ作りお医者様のところへ。

 お医者様の意見も参考にしながら、この現象を最大限生かすことが出来そうな構造について話し合い、幾つかのパターンを試し、結果が良好な物を残していくことにしました。


 ここからの半年間は濃い半年間でした。医療器具のパターンだけを見ていても仕方がないので、建築、土木、エンジン、車や飛行機などのボディー構造といった物を調べまくり、転用できそうな構造のものは全て試作してました。サイズ違い、厚み違いなどを入れると、この半年ほどの間に作ったサンプルの種類は1,000タイプほど、その中で実用性がありそうな構造のの物を試作して評価したんですが、作ったサンプルの総数は多分4,000〜5,000個程度にはなっていたと思います。


 こうして新しい試作品が完成、思いつく限りの評価試験の結果は全て良好、唯一の懸念事項は試作品を体内に留置するための方法が少し難しく、操作に慣れているお医者様(この場合は共同開発をしていただいているお医者様)でないと、正しく留置できない可能性があるという点でした。


 この問題は、おいおい解決することにし、今の状態で動物実験のリベンジを行うことになりました。


 時期は1年前に大失敗をしたのと同じ3月ごろ、私は社会人2年目から3年目に変わろうとする時期でした。

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