僕と家族とひきこもり。悲しみの底で見つけたカウンセラーという生き方を目指した2190日。 その2
・キャリアカウンセラーYさんとの出会い
家から外に出て、久しぶりに外の風を切って、
着慣れないリクルートスーツになんだか違和感を感じながら、
最寄駅へと向かいました。
一人で外に出て、電車に乗るは久しぶり、、、。
何度も、何度も乗り換え案内を確認しながら、地図を片手に派遣会社へと向かいました。
「何を話そう、何て言えばいいんだろう?」
「アルバイトしてましたって言えばいいんだ!」
「大丈夫、大丈夫、きっと大丈夫…」
そんな事を心の中で呟きながら、竹橋駅で電車を降りました。
出口を確認して、地図を握る手が少し汗ばんでいるのが分かります。
ただ、登録に行くだけなのに、、、。
引きこもりだってばれたらどうしよう、、、。
そんなよくわからない事を考えて、自分の鼓動が早くなるのを感じながら、
派遣会社へと向かいました。
もう、その後はどうやって入ったのかよく覚えていません。
気づいたら、仕切られている個室に連れられて、
40代半ばくらいの男性のキャリアカウンセラー(Yさん)が目の前にいました。
そして、たった一言、「これまでどうしてたんですか?」
って聞かれた瞬間、全身の毛が逆立つよな、ゾワっとした感覚がして、
「あ、言わなきゃ」ってそう思って、
「実を言うと、引きこもってたんです。」って、結局伝えてしまいました。
すると、ダムが決壊したように、気持ちが崩れ始めて、言葉が止まりません。
言葉だけじゃなくて、涙も止まりません!
”何だ!?何なんだ!?”
自分でも訳が分からない。でも、止まらない。止まらなかった。
気づいたら、洗いざらい話していました。
その間、そのじっとYさんは、話を聞いてくれていました。
その時の優しい眼差しは一生忘れません。
Yさんは、一通り話し終えると、
そう、一言、言ってくれました。
そのたった一言が、僕の胸に刺さりました。
今まで、誰もそんなことを言ってくれなかった。
母は夜な夜な布団を濡らし、それを見ていた父は母を励まし、
そんな姿をしらない息子に激怒し、
「お前は、お母さんが自分の育て方が悪かったのかって、泣いているの知ってんのか!」と言われた。
衝撃だった…。
それまで沢山吠えて、これでもかってくらい怒鳴りあってたのに。
そんな母の事を思うと、言葉に詰まり、言葉が出なくなったあの日も。
そんな両親の事を知ってか、知らずか、
姉が本気で僕にぶつかってきて、大喧嘩、
「信じられない、もう誰も見方がいない、お前もか!」
そんな思いを口にも出きず、無言で大粒の涙を流しながら
家を飛び出し、大声をあげて、そこらじゅうの壁や電柱を殴り、
やり場のない怒りや気持ちが、どうしようもなくて、叫んで、走った。
苦しくて仕方がなかった。
誰もわかってくれなかった。
「でも、おれが悪いんだ、だからしょうがない、、、。でも、、、」
そんな思いを抱えて、気持ちがおさまるまで何時間も夜空を見つめて、孤独で泣いて、
何にも考えないように、ただただ夜空を眺めていた。
そして、気持ちもおさまり、「そろそろ心配するから帰るか・・・」
そう思って、家に帰ったら、ものすごい勢いで
ドタドタドタッ!と、目を真っ赤にはらした姉が玄関に飛び出てきた。
それも、大泣きしながら、、、。
「ひ~ちゃんが、自殺しちゃったかと思ったよ!よかった~!お姉ちゃんどうしようかとおもった…。よかった…。」
そんな姉を見て、何にも言えず、胸が締め付けられて、涙が込み上げて来て、
申し訳なくて、ふがいなくて、歯を食いしばった。
そして、振り絞って「死なないよ・・・」と一言だけ言って、泣く姉をそのまま残し、
一人で2階の自分の部屋に行って泣いた。あの沢山泣いた日も。
家族みんなが辛くて、「辛かったね」の一言を掛けてくれる人なんていなかった。
だから、その「辛かったね」の一言は、僕にはどうしようもなく響いた。
その言葉のおかげで、「頑張ろう!」とそう思えた。
その言葉のおかげで、心の底からこの人はわかってくれるんだ。って思えた。
何だか、とっても安心したし、ほっとしたのを今でもはっきりと覚えている。
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