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16/1/8

あの頃、ビアハウス:しゃれこうべと大砲

Image by Olia Gozha

♪大砲のうえに しゃれこうべが
 うつろな目を開いていた             
 しゃれこうべが ラララ 言うことにゃ 

春が来て夏が過ぎても
だれも花をたむけてくれぬ
しゃれこうべが ラララ 言うことにゃ
人の愛も知らずに死んだ

なんという歌!と思う人もいることでしょう。この歌はイタリア・パルチザン革命・戦争などのため、一般民衆によって組織された非正規軍)の歌であるともに、シシリー民謡とも言われています。

題、歌の内容とも、少しどぎつい感じはするけれども、メロディーはいたって明るく、アコーディオンにタンバリンを入れて、さらりと歌い流します。わたしの持ち歌で、この歌のファンがしっかりといたのを、実は最近知らされたのでした。

インターネットの醍醐味は、私の場合、とあるコミュニティのメンバーと毎晩チャットルームでとぐろを巻いて愉快な話ができることではあったけれど、もうひとつ、ある日偶然に検索にひっかかって、どういうわけか古いなじみにぶつかったりすることです。
これは海外にいて、なかなか人との連絡がとれにくい生活条件のなかでは、とても嬉しいことです。

さて、上記の話にもどって、しばらく前の、とある掲示板で、
「ん?あれ?そ、そでさん?しゃれこうべと大砲」?と、びっくりするカキコミを目にしたのであります。

アサヒビアハウス梅田では、おじさん連中からは「ゆうこちゃん」、同年代もしくはちょっと敬意を払ってくれる連中からは「そでさん」と、わたしは二通りの愛称で呼ばれていました。

おじさんたちのガードが固くて、若い男性客がいっぱいいたと言うのに、ビアハウス内での恋愛沙汰とは無縁の時代ではありました。この頃はアメリカ移住のための費用を必死で貯めていた時代でもあります。 

その書き込みを読んでみると、なんと投稿者はその当時独身で「しゃれこうべと大砲」のファンでだったと告白しているのであります。「アサヒ広しと言えども、そでさんのこの歌を今でも憶えているのはこのわたしだけ!」と、自慢までしていらっしゃる。

今にしてみると、直接ではないけれど、人を通して時々この歌のリクエストが入ったのを思い出すのでした。

実は、この「あの頃、ビア・ハウス」を書くにあたって、30数年も前のことではあり、歌詞がところどころ虫食いのようにうろ覚えになっていたりするもので、あちこちで検索をするのです。この検索が、かつての知人との再会につながり、また新しい人とのお付き合いを生むという、なかなか楽しい出会いのキーワードともなっているのです。

 聞けば、わたしが歌っていた1970年代後半の梅新アサヒビアハウスは、現在は 「スーパーアサヒドライ梅田」と、ビルが改築されたのを機に変身してしまったけれども、70年代のビアハウスのファンは根強く、ついに彼らは同好会を立ち上げ、このスーパーアサヒドライの一室を占領し、月に1度、第2土曜日には昔と同じように、あのころの雰囲気そのまま、今でも集っているとのこと。

 みな、歳を重ねてはいるでしょうけれど、このわたし同様、心は今でも「あの頃、ビア・ハウス」のままなのであろう。

 次に帰国した折には、是非わたしもその同好会とやらに参加したいと、またひとつ夢を持つにいたっているのです。     

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