大学合格の軌跡 奇跡 後編 ~ひでお物語~
一浪して、大学合格を目指していたひでお少年だった。
目指す大学は地元の国立大学。
毎日予備校に通い、受験生をしていた。
高校時代のように女子にうかれたりすることもなく、毎日自転車で通ってた。
でも悪夢の誘惑が来た。
その当時人気絶頂のドラクエシリーズのパート2が試験を今月に控えていた1月に発売された。
そのゲームがどうしても欲しくなり、ひでお少年はある時、その行列に並んでいた。
お年玉で購入そして、ゲーム開始。
時は受験シーズン真っ只中であった。
センター試験があった。
去年よりは点数がよかったけれど、地元の国立大学に合格するための点数には及ばなかった。
が、それでも先生の忠告も聞かず、その大学にしか目に入ってなかった自分は、
受験した。
結果は、やっぱり不合格だった。
大学入試はその年から前期と後期の試験に分かれていて、
前期ではとなりの県の国立大学を受けた。
でもこれは後期の予行演習のようなもので、試験もやや適当に受けた。
英語の時には半分終わったくらいで、トイレに行きたくなり、
それをがまんしながら受験してたので、きっと良くなかっただろうし。
もぞもぞしてたから、きっと後ろのやつは気が散って落ちただろうな。ごめんよ・・・。
そんなこんなで、やっぱりその大学に落ちていた。
国立のほかに私立も何校か受けていた。
関西の私立大学に一つだけ合格していた。
なんかひさしぶりみた「合格通知」
だけど、よせばいいのに
ひでお少年はなにをかっこつけたのか
その合格証書や入学の申し込み用紙などを
ゴミ箱に捨てていた。
こんな大学いくかってね・・・
で結局、行く大学がなくなっていた。
すべてはドラクエのせいだった。
いやドラクエのせいにしていた。
全部の大学を落ちたあとはむしろゲームをしなくなった。
外に出ることもなく 部屋でぼーっとしていた。
二浪か?なんて覚悟してたりもしたけど、最後のあがきで、四国の国立大学の追加募集の試験を受けることにした。
このころは瀬戸大橋もかかっていないので
前日の夜に家をでて、
翌日の5時くらいに到着する強行な行程だった。
駅員さんにもびっくりされた。
そんな、夜の広島駅のホームで、ひとり新幹線を待っていた。
早めに来たので一つ前の新幹線にも乗れたけど、なんとなく乗らなかった。
で次の新幹線を待っているときホームで自分を呼ぶアナウンスが流れた。
「ひでおさま。お連れ様が改札口でお待ちです」と。
「ん?連れなんていないけどな」とホームの係りの人のところにいくと、
うちのおかんがいた。
何事かいなといぶかると・・・
「大学から追加合格の連絡があったよ。今日中に連絡してって言われたよ」
・・・夜十時半すぎにひでお少年は大学合格の知らせを広島駅のホームで受けた。
合格したのはとなりの県の大学だったけど
うれしかった。
こうして4月からはひとりぐらしの大学生活が始まるのであった。
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