リリー・マルレーン
♪vorder Kaserne 夜霧深く
or dem grossen Tor たちこめて
stand eine Laterne 灯りのともる街角に
Und steht sie noch davor やさしくたたずむ恋人の姿
do wolle´n wir uns da wieder seh´n
Bei der Laterune wollen wir steh´n
Wie einst Lili Marleen いとしい リリー・マルレーン
Wie einst Lili Marleen いとしい リリー・マルレーン
若い人には馴染みが薄いかも知れないこの歌、「リリー・マルレーン」は第二次世界大戦中にナチへの反戦歌として戦場で歌われた。自らがドイツ人でありながら国策に反抗し亡命したドイツの大女優、マルレーネ・ディートリッヒの低い声でささやくように歌ったこの歌に戦場の兵士たちはつかの間の安らぎを得、望郷とともに国に残してきた恋人に思いを馳せたことであろう。
ビア・ソングやオペレッタを持ち歌にするには、私の声は低すぎた。出ない声は出ないのである。暗黙のうちにできあがったのが、「場内を盛り上げる魚浮名歌は先輩歌姫宝木嬢、そして、ひっそりがわたしの歌」。もちろんわたしの持ち歌全てがそうではないが、男性の声ならいざ知らず、一応女性の声ではあるので、低音でガンガンとリズムに乗って歌うのも、多少の違和感は免れない。
場内の盛り上がりは7時半の「5リッタージョッキーの回しのみ」で始まる。「ビア樽ポルカ」の曲にあわせてわたしたちはタンバリンを手に目いっぱい陽気に歌い、まず常連の一人がステージ前の丸テーブルの上に乗りあがり、ヨッコラショとばかりに大きく重いジョッキーを片手に飲み始め、そのうちにそれに続く飲み人の列ができる。
順番に回しのみして行き、最後に飲み干した人には商品が与えられ、そのすぐ後、全員総立ちでそれぞれのジョッキーを片手に
Ein Prosit Ein Prosi der Gemutlichkit!!
(アインプローズィト アインプローズィト デル ゲミュートリッヒカイト=乾杯!)
と、歌いながら見知らぬ隣席の人々とグラスをあわせ鳴らすのである。 場内はこのときが最高潮。そんな後にちょっと一息、静かな歌としてリクエストの多かったひとつが、この「リリー・マルレーン」であった。
ドイツ語で歌い始めると場内は静まり返り、さほど上手でもないわたしの歌に人は耳を傾けてくれる。
ほの暗いビア・ホールに流れる「リリー・マルレーン」はその哀愁あるメロディで熱気溢れる回し飲みやムカデ行進の後が、聴いてもらうのに抜群の効果があった。
わたしの大好きな歌である。
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