『ペ●スノート』:Page 4「死神」
「次ふざけるようだったら今度は容赦しねェからな・・・・お前の頭にゲンコツが10回降ってくると思え・・・・」
さすがにゲンコツを10回も喰らうのは避けたい。知らない相手からいきなり暴力を振るわれる点でも不快だし、何よりもあの力でゲンコツなんか喰らってしまったら、大きなタンコブができてソテーにして食べてしまいそうだ。しかし、剣は困惑した。確かに学校帰りの道端で何かを拾ったのは事実だが、決してノートと言えるような形ではないのだ。拾ったのはボイスレコーダーのような古びた機械と、それについての説明書だけである。かろうじてこの真っ黒な冊子である説明書はノートっぽいのだろうか・・・・いや、説明書に「この機械はペ⚫︎スノートです。」と書かれていたんだから、きっとこの機械をノートだと言っているのだろう。あの可笑(クレイジー)な死神さんは。
「何か・・・・言いたげなみてェだな?ん?」
剣の心の声が、ほんの少しばかり死神に伝わってしまったようだ。こちらを睨む目が、徐々に殺意に近いものが含まれていくのをどこかで感じた。いよいよ本気で危機感を抱いた剣は直様ペ⚫︎スノートとその説明書を虹空の近くに放り投げた。
「え、え?何コレ???掘り出し物的なSomething?」
「いいから!早くそれに触って!!じゃないとオレ死神にゲンコツ喰らわされるゥーーーッ!!!」
焦る剣を目にし、このまま死神(見えてないし、いったい死神が何のことなのかわからないけど。)からゲンコツを喰らう剣を見るのも面白そうだなぁと思ってしまったが、さすがにそういう訳にもいかなかったので、渋々、謎の機械とその説明書を手にした。
すると、虹空の目の前には、右手に鎌を持ち、黒いフードを身に纏っている骸骨男が現れた。なるほど、これが剣が言う”死神”ってヤツか。虹空はようやく腑に落ちた。
「まぁ、びっくり!・・・・ところでこの機械と冊子は一体なんなのん???」
「テメェ、ナイトとは違って全然怖がらねェみたいだな・・・・」
それに、さっきまで見えてなかったクセになんでパニックってたんだ??・・・・と聞き出そうとした時、死神はふと気づいた。
「・・・・テメェさっき、”機械と冊子”って言ってたな。」
「うん、言った。」
死神を初めて目にしたのにも関わらず、冷静かつ塩対応な目路人 虹空先輩(パイセン)。
「ノ、ノートじゃ、ねェのか・・・・?」
先程までの強気な態度とは一変し、死神はオドオドしていた。そりゃそうだもん。だって人間違(まちが)いである可能性がいま90%くらいに跳ね上がってるんだもの。
虹空先生は冊子を手にし、書かれてある文字を口にした。
「”ペ⚫︎スノート”って書いてあるけど。・・・・ていうか”⚫︎”の部分読まないんか。紛らわしい。」
「ペ⚫︎スノート?・・・・・”ペ⚫︎スノート”!」
いま、死神は何かを思い出したようだ。それと同時に湧きでた感情は、まるで夏の終わりのいつもの遊び場からの帰り道、坂の上にいた白いワンピースの女の子を眺めていたら、そよ風でたまたまパンティーが見えたのが未だに忘れられないあの感じなのか、それとも原っぱでゴロゴロしていたらカマキリのたまごを見つけたので突っついて遊んでいたら、ちっちゃいカマキリの幼虫がウジャウジャと出てきてすごいトラウマになったあの感覚のようなのか、どちらなのかよくわからないし、筆者も大して考えないで書いているから正直どうでもよい。
「ククク・・・・ククククク・・・・」
死神は、不気味に笑い始めた。この奇妙な笑みは、一体何を意味するのか。不穏な空気が漂い始めた。
「おやおやかわいそうに、あたまをおかしくしてしまったんだね。」
「そうだ、ぼくがいっしょにびょういんへいってあげるよ。」
不穏な空気を容赦なくぶち壊す虹空と剣。この時、死神の中で何かが切れた音がした。決定的な何かが・・・・これは、堪忍袋の緒が切れた音だァーッ!
数秒もしないうちに、2人の頭に制裁が下される乾いた音が響いたのは言う間でもない。
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