文系女子がドイツでリケジョになってみる ―魅惑の奨学金編

前話: 文系女子がドイツでリケジョになってみる ―未知との遭遇編
次話: 文系女子がドイツでリケジョになってみる ―人文系は貴族編

努力はいつか報われるかも

以前の記事でも書いたように、親の収入が一定以下だと、ドイツでは結構な額の奨学金をもらえる。その奨学金は多くの場合、半額のみ返済すればOKである。

一定以下の収入とは言っても、知り合いには父親が医者で母親が高校教師で3兄弟という人がいる。上の二人は奨学金がもらえなかったが、3番目の子はもらえた。両親共エリートで高級車に乗るようでも、三人同時に大学に行かせるのは経済的負担が大きいということで、奨学金を支給されたそうだ。

ちなみに、大学の学費はタダである。

私は、「自分らでなんとかしろ!甘えるな」と思った。

兎に角、ドイツは学生に甘い。日本では大学を出るため、売春までしなければならない学生もいる。もちろん、ドイツの大学は日本の大学に比べてかなりハードなので、副業する暇が無いというのもあるが、甘やかされすぎである感はいなめない。

もちろん、本当に貧しい家の子も奨学金をもらえて、平等な教育の機会をもらえるため、成り上がるチャンスがあるという点では素晴らしいことである。

しかし、周りを見た限りでは、貧しい家の子やトルコ人移民の子は大学に来てもボタボタと落第していく傾向はある。彼らは、向上心が足りない傾向にあるのは否めない。

もちろん例外はいて、クラス一番の優等生は両親が離婚して母親が不治の病の貧しい子である。この子の兄弟は麻薬中毒者らしいけど、本人はかなり品行方正・頭脳明晰である。あと、一人のトルコ人も怠け者だがかなり頭が良いので成績も良い。割合的に、貧乏人の成り上がりの成功率は20%くらいであるが、それでも国が貧しい子供にチャンスを与えているのは素晴らしいと思った。


中年女子が奨学金をもらう

私はもう中年と言っていい歳である。いくら学生にあまいドイツでも、学部で入学時に30歳以下であることや、一度学部を出た人には普通の奨学金はあげません。

この2点に両方とも該当している私に金をくれるほど、ドイツも金が有余ってはいません。

しかし、そんな中年文系女子にもチャンス到来である。

私は最初の一年間、テスト前の2ヶ月間は大学受験並に勉強しました。元々理系は得意ではないし、基礎知識もないのですが、授業は常に出席して、お受験テクを駆使した結果、そこそこの成績をもらうことができました。

ドイツで唯一上記にあげた学部卒で30歳以上でも可な奨学金があったので、だめもとでそれに応募したところ、なんと当選通知が!

この奨学金は基本的には各学部の各学年1人のみがもらえて、一度もらい始めたら卒業まで月々約4万円がもらえるものです。私はドイツでも物価の安い地域に住んでいるので、これはかなりの大金です。

多くの場合、クラスで1番の人がもらうらしいのですが、外人が少ない地方大学で中年外人が、さらに女子がほぼいない学部でがんばっているというのを評価されての当選だったのだと思う。


奨学金の副賞

奨学金当選記念パーティというのが大学で行われた。聞くところによると、この奨学金は半分が国から、半分は現地の企業が出資されているという。

このパーティには出資企業の人事課の人が来ていて、早めに学生とコネを作る場が設けられている。

ドイツでは大学の専門と就職が密接に結びついているし、卒業論文は半年かけてインターンをしながら書くようになっている。このインターンが上手く行くと、卒業後すぐにインターン先で就職することができる。

企業もできるだけ優秀な人材がほしいので、奨学金をもらう優秀な学生と知り合いたい。

もちろん、東洋人は若作りなので私がオバさんだということにはあまり気付かれない。

人事課の人と話した後、会社見学に誘ってくれた企業があったので、後日その企業を訪問してみた。各部署を見せてくれて、お昼を奢ってくれた。コンピュータ科学を勉強してはいるものの、実際何の仕事をするのが分からない私にとってはとてもためになるものだった。就職後のイメージが少しつかめた。この意味でも、奨学生になれてよかったと思った。


ボランティア・・・?

ほかの奨学生と話をしてみたところ、ほかの奨学生で成績トップでなかった場合の多くは、沢山のボランティアをしている人だそうだ。

たとえば、ドイツの地方にある消防署は職業消防士ではなく、ボランティアの消防士によって担われている。一人の奨学生はその消防士のボランティアをしているそうだ。日本の消防士同様、結構危険で、死ぬ人も出るそうだ。そんな危険なボランティアをしていることが評価されて、人並みの成績でも奨学金をもらえたそうだ。

他の人も、やたらボランティアをしているようだった。

そういえば、ドイツでボランティアなどしたことがなかった。一応、慣例では一度奨学金をもらえば、次の年ももらえることになっているが、例外もあると聞いて、危機感を覚えてしまった。

「やばい。何かせねば」

そんなことを考えてきたら、教務課から「文化行事で日本紹介の日をやるべし」との指令がきた。

「やっぱりタダほど怖いものはないのだな」

と思った。

しかし、日本文化を紹介しても、消防ボランティアには遠く及ばない。

何かほかにもしないとヤバイと思い、「理系女子奨励担当」という肩書きの教授に連絡して、「理系女子を増やす活動に参加させてください」と連絡をした。


日本紹介プレゼンと留学生オブ・ザ・イヤー奨学金

奨学金をもらってしまったので押し付けられた文化紹介行事はなんだかんだで上手くいった。もともとドイツ語の苦手な私が500人くらい人の前でパワポ・プレゼンをしなければならなかったので、精神的苦痛は大きかった。しかし、ドイツ人に受けそうな統計を交えたジョークなども入れて行ったプレゼンもなかなかの評価だった。

以前の仕事でイベントのオーガナイズとかもしたことがあったので、ドイツ語こそ下手だったけど、イベントはちゃんと成功させた。

そのおかげで奨学金はさらに1年延長され、それだけでなく、「大学内で今年一番優秀だった留学生・奨学金」で1000€の棚ぼた金までもらったのだから、嫌なプレゼンもやってみるものだ。留学生もそこそこ多い中で私が受賞できたのは本当に幸運だった。


著者の秋野 静さんに人生相談を申込む

続きのストーリーはこちら!

文系女子がドイツでリケジョになってみる ―人文系は貴族編

著者の秋野 静さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。