ラクダに乗った日の話

著者: 松田 光一



世界遺産 メンフィスとその墓地遺跡 -

ギーザからダハシュールまでのピラミッド地帯_ エジプト・アラブ共和国

エジプト旅日記より(2012年夏)


カイロの国際空港を降りて外に出ると即、

タクシーの勧誘にあった。カイロの滞在は2日だけ。

その2日間に2か所の世界遺産の絵をスケッチするつもりだった。

1日でも暇な日があると退屈で死にそうになってしまう性格だったので、

いつもこんなスケジューリングであることが多い。


幸いにも晴れ。とにかく暑かった。

タクシーの運転手が今日早速ギザのピラミッドに行ってホテルまで送ってあげるというので、

そのままお願いすることにした。






タクシーの運転手が最初に連れていってくれたのは、

やっぱり旅行代理店だった。

ベタベタの展開である。旅先では結構噂通りのベタなことが起こるものだ。


それでも旅行初心者だった僕は、

そのままラクダでギザのピラミッド周りを巡るツアーに参加することにした。

特にラクダに乗りたいと思っていたわけではなかったけど、

暑すぎるのでちょうどいいのかも、と思った。




ガイドの男性は馬に乗っていた。ちょっとゾッとしたのは、

このガイドさん、馬を鞭で半端なくブツ。たまに目に当たったりして、

馬の目からは今にも血が出そうなくらい血走っている。

灼熱のせいもあって、何だか心も中がもやもやした。

馬はバンバン打たれているけれど、僕を乗せたラクダはそれなりに楽しそうだ。




それでもピラミッドを目の当たりにしてうっとりした。

ラクダの上で汗をたっぷりとかきながら、

ピラミッドのスケッチをする。これはいい気分だと思った。


鯉の絵が描かれたでっかいバックパックに

アロハシャツにタオルのバンダナ、ぶかぶかのアジアンパンツ。

この絵面にはマッチしているような気もするけれど、

こういう挑発的な意味不明な服装していると後でとんでもないことになることを

この時の僕はまだ知らないのである。

それはまた別の話。



クラクションのノイズが耳に残る。

灼熱の気温と、ラマダンの飢餓感と、ラクダに乗ると

上下にやたら揺れるのでお尻がヒリヒリになるということも分かった。

最終的にガイドにいくらかチップを請求されたが、それがいくらだったかは忘れてしまった。

エジプトにいる時は結構高額に感じたけれど、日本円にすると安かった。



初めてのエジプトはお尻がヒリヒリで、猛烈に暑かった。



エジプトにラクダがいることは何となく想像していたけれど、

特にラクダに乗ろうとは思っていなかった。行先で何が起こるかは想像ができない。

旅はそういう未知の体験をさせてくれるものであることは言うまでもない。

でも実際に体験してみないとその感覚は本当にわからない。





暑かったなピラミッド。



Memphis and its Necropolis

– the Pyramid Fields from Giza to Dahshur

Egypt (2008)

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