全くモテない19歳の女の子がいきなりオーストラリアに行ってそのまま永住し、イケメンと国際結婚して、ライフコーチになった話。第五回 禁断のポップコーン
彼が勝手に「俺の彼女」宣言しだしてさすがの私もびっくりして反論するものの後の祭り。
英語が話せない家族に何を言っても無駄である。家族は私を本当の彼女のように慕ってくれたのである。
彼の家がオフィスになっているので遅くまで残業していると隣に住むお母さんが
「ご飯よ」と毎晩出前をしてくれる。
いい人なんだろうがこのままではダメだ。
それよりもお給料が悪すぎて家賃を払うのがいっぱいいっぱいになってきたのである。笑える話、カフェ時代の方がいい暮らしをしていたかもしれない。
切羽詰まった私はクレジットカードを利用するようになった。
せっかく仕事してお金がない。
しかも週末まで厨房で働く始末。
おかしすぎるやろ!
そう思って私は他の仕事を探し出すことにした。
その時ちょうど公務員テストの募集をしていた。
多分受からないだろうがいい経験になるだろう。何事も経験。そう思って公務員のテストに申込みをする。
と水産省から電話がかかってきたのである。
「テスト受けなくてもいいから面接に来てください」
ほんまにこんなんでええのか、オーストラリア。
と思わないこともないが、まぁ宝くじがあったのだろう。
これもチャンスだ!と思い面接へ。
「おはようございます。とりあえず今日はうちの部署の紹介と会社の設備の紹介だけさせてもらいますね」
面接とはこれだけだったのである。
本当にこんなんでええのか?
やっぱりあんな簡単すぎる面接である。一週間たっても返事がない。
心身ボロボロの私はまた仕事探しをスタート。お金もない、英語ボロボロ、経験も乏しい若い日本人を雇ってくれる会社はいったい存在するのか。
そんな時だった。
大好きなイギリス人男性から
と誘われるのである。
大好きな人に会える。
そう思って貧乏を極めながらもクレジットカードに頼り、どうにかしてチケットをゲットすることが出来た。前の家のオーナーと言い、この社長と言い。私はもう精神的に追い詰められていた。
クレジットカードはギリギリだったが、そんな事どうでも良かった。どうやってクレジットカードを払うんだろう、とは思ったが、思い切って仕事も辞めてしまったのである。
イギリス人男性とは半年ぶりの再開ではあったが、毎週スカイプしていたのであまりギャップは感じなかった。前のような初々しさはなく、彼女のように接してくれる彼に胸キュンである。
イギリスの冬は寒かったが彼と一緒にショッピングしたり、レストランへ行ったりと寒さなど関係ないくらい楽しかった。
そしてイギリスからマルタへ移動し、彼の友達の家で行われいている年越しパーティーへ参加。そこで友達が
「いつもね、女の子を紹介してるんだけど、全然乗ってこないの。ゲイなのかと思うくらい。こうやって女の子を連れてくるってことはかなりマジなんじゃない」
そうなの?
家に帰って彼に聞いてみると
彼の元カノとは遠距離が原因で別れているため彼は遠距離がとても嫌いな様である。
結婚の話をすると
いや、結婚なんて数回する人もいるが、結婚するときは
「さぁいつ離婚したろ」
なんて思って結婚する人はまずいないだろう。
とはいえ、愛は盲目。私はそんな彼が大好きで仕方なかった。
マルタを去る際
なんて甘い過ぎる一言をくれる。
私はこの一言だけで十分だった。
幸せだった。オーストラリアに帰って仕事はないが、彼の事一言だけで私は頑張れた。
著者のNori Kalemberさんに人生相談を申込む
- 1
- 2
著者のNori Kalemberさんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます