闘病記の再構築 第12回

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鍼灸学


 医学博士の間中喜雄先生は、長年の臨床と研究から、人間に存在する未知の神経系に関する仮説をたてられました。


人体をはじめ自然界には、多くの未知のシステムが存在する。これを解く鍵を、私どもは「信号システム」であると考える。生物はその体の中に、驚くほど微細な信号をとらえて伝達する信号系を持っているのではないか。

 一般に、鍼術とは「鍼を用いて体表を刺激し、その反応を利用して治療する技術である」と考えられている。しかしこの公理にも似た考え方に、私どもは一つ大切なことを付け加えたい。それは、「刺激とは定義できないような微小(極微量)の、いわば‘信号’を一定点に送ることによって、それに対してある反応が期待できる」ということである。これをシステム化すれば、立派に治療として役立つ。

 私どもは鍼灸の臨床で出合った様々な現象を発端に、人体には未知の信号系があるという仮説を立て、それを「X-信号系」と名づけた。これは人体に残存しながらも忘れられた古い記憶の一つなのではないかと、長年の研究、経験から考える。この信号効果に相関する体表(あるいは体全体)のシステムは、今まで生理学や解剖学等、現代医学で説明困難であった鍼灸理論にとって不可欠なパターンであると考える。

 本書では、「X-信号系」の存在を様々な角度から確認しようと努め、またその臨床への応用を提示した。この信号系の存在はいまだ仮説にすぎないが、鍼灸の実用性の枠を大きく広げるばかりでなく、身体の持つ未知の可能性をも引き出しうるものである。これをさらに追求していくと、身体と宇宙とは何らかの信号系で連動している可能性が見えてくるのではないかと思えるのである。

                                  「生物の未知のシステム」


人間の身体にはその種族発生の早い時期に成立していた「原始信号系」が残存している。その後、重層的に発達した複雑な信号系、オートメーションシステム網のうちに埋没してその存在は明瞭ではない。しかし、微細な内外の情報を鋭敏に感受し、弁別し、遠隔的に伝え、生態の役立っているシステムこそ鍼灸のモーダスオペランディ(運用法)に重要な役割を演ずるものではないか。

                                   「暗号解読の鍵は何か」



 素人考えですが、私たちの身体には未知の信号系は存在していると思います。ただ、そのなかに目的のものがあるかは分かりません。もしかすると、高い確率で空想かもしれませんが、素人の良いところはそれでも前進できることです。

 刺激とは定義できないような微小の信号。それを受信する原始信号系。ヒト種誕生の早い時期には、生活に密着していたかもしれないその信号系は、現代までの環境の変化と、そこで生き残るために要求される能力の変化によって、後発システム網のなかに埋没しているかもしれません。そして、私たちが動物である限り、誰のなかにも存在し、使われずに眠っているだけなのかもしれません。

私は、そのような原始のもののなかに、目的の神経系があるのではないかと思います。

 それでは、共鳴させるリズムとは何でしょうか。



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闘病記の再構築 第13回

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