うつだっていいじゃない!【其の三・寛解?】

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こまめなカウンセリングと適切な投薬、それと仕事をすることの面白みを取り戻せていったことで、予想以上に寛解に近づくことができた。通院していた期間はあまり覚えていないが、1年から1年半というところだっただろうか。いつしか薬を飲まなくても普通に生活ができるようになっていった。

それからは時にキツい状態に見舞われても、昔のように「明日がくればどうにかなるさ。」そんな感じで過ごせるようになっていた。元々楽観主義な性格で「悩みがないのが悩み」ということを自負していたような男。ようやくあの頃に戻れたのかなという気になっていた。

しかし、うつというものは寛解はしてもそうそう完治するものではない。治療をしている過程で自分なりに色々とうつについて調べていたこともありその知識は持っていた。

「寛解」・・・病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽減した状態。または見かけ上消滅した状態(コトバンクより引用)

そう。思いもよらないタイミングで何かの引き金を引いてしまう、もしくは引かれてしまうと、見かけ上消滅していたものは実は消滅しておらず、ゾンビのように再生してくる可能性があるのだ。

山を登り切ってもまた谷が来る。谷を降りきってもまた山が来る。いつまでも平坦な道が訪れない。そんな堂々巡りが続くこともあるのだ。

うつとはもはや無縁になったと思っていた数年後のことだ。あることがトリガーとなりその寛解は見事に崩壊の道を辿ることになる。二度目のうつがやってきたのだ。

それは仕事のことでも、自らの家庭生活でもない。母の病だった。


イラスト/ ©2016 つばめとさくら

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