元心臓病のホームレス少年が カリブ海に住むようになった3つの理由

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辿りついた先は 名古屋だった


実家から一番近い都会だ



焦っていた少年の頭にあったのは
正攻法ではなくアメリカに戻る事だった



とにかくアメリカに戻らなくては当初の目的も何も果たす事は出来ない


そして思いついたのは自衛隊になる事だった


自衛隊の海士になり 台湾等との共同軍事演習で他国に渡る事さえ出来れば 
地球を反対周りしてでも再びアメリカの地を踏む事が出来る


奇天烈極まりない計画ではあったが 少年は真剣だった


コメ兵というアウトレットストアにアメリカで買った最先端の服を売ると
日本で流行り始めていたばかりのブランドだったらしく


思いの他高値がついた


その金で自衛隊海士の本を買い


そのの1冊だけで勉強し
試験日まではなんとか路上で過ごそうと覚悟を決めた



少年ホームレスの誕生した瞬間だった


寒風の吹き晒す冬の名古屋は少年の体を芯まで冷やしたが


少年の心の中の灯は熱く燃え続けていた




他のホームレスとの縄張り争いで


次にここで寝たらしょんべんを掛けるぞと脅されたり



道行く人が捨てた弁当を漁り 喰い荒らす姿を好機の目で見られたり


寝る場所だけを探して1日中歩き回る日々が続いた



週に1度の贅沢で


松屋の240円の牛飯というキャンペーンを当時やっていたのだが


240円を握りしめて松屋に入り


御飯を一粒残らずゆっくり食べた後


テーブルに置いてある紅ショウガの箱 を人目もはばからず 全て食べつくした


最後に残った薄っぺらい牛肉の欠片を 1枚1枚味わって食べ


お茶を何杯もお代わりして


可能な限り腹を膨らませ 暖を取った



コンビニで立ち読みをするフリをして
頭を本棚に寄りかけて立ったまま寝たりしていたが
だいたいしばらくすると追い出された


結局大抵の夜は 大須のアーケードで雨を凌ぎ乍ら
路上に段ボールを敷いて寝るというのがお決まりのパターンだった



やがて仲良くなったホームレスから
夜中の2時にある場所に並ぶと 日雇いのトラックが迎えに来るので
選ばれれば その日は11500円貰える という情報を入手した



早速その場所を探し出し 夜中の1時から並ぶと
少年のような浮浪者が ぽつりぽつりと集まってくる


2時に白いバンが現れた
作業着に身を包んだ初老の男性が


慣れた様子で浮浪者を指さし


お前 お前 という風にバンの中に乗せている


少年は力いっぱい手を挙げて
まるで小学校の授業参観の日くらいに



はいはいはいはい とアピールをした


初老の男性は やれやれといった様子で少年もバンに乗せた


バンの中に隙間は存在しなかった


何重も服というより襤褸を着重ねた浮浪者達が
犇き合うように座席に座り


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