うつだっていいじゃない!【其の七・仕事中に…】
【仕事中に襲われる…】
葬儀も一段落して、約一月半ぶりに職場復帰を果たしたのが7月の頭だっただろうか。
多少の心労などがあったとはいえ、私の状況をよく理解してくれていた上司のおかげで仕事感は比較的スムーズに取り戻すことができた。
看護前の生活リズムに体も戻ってきて、夏の暑さも無事に乗り切り、9月も終わりに近づいた頃のことだった。
それまでにも精神的な不調が理由で出社できない日がなかったわけではないし、通勤途中で具合が悪くなってしまうことも度々あった。
しかし、何とか通勤できてしまうとそこからは元気になる。
高熱など身体そのものがどうにもならなくなる病状以外であれば、会社で不調になることはまずなかった。
仕事のスイッチが入ればそんなものは全部吹っ飛んでしまう、そんな精神体質だった。
しかし、あの日は働いている途中で急に気が滅入ってしまい、胸のあたりがつかえる感覚に陥った。
(こんな経験は今までないな…さすがに今日このまま勤務するのは無理かも…)
もはや記憶すら定かではないが、その日は早退させてもらったはず。
なにせ初めての経験だったので自分自身にかなりショックを受けていた…覚えているのはそれだけ。
そして別の日のこと。
通勤途中で気分が悪くなりつつも会社の最寄り駅までは何とかたどり着いた。
これは前述の通りたまにあること。
しかし、改札口にたどり着いた頃には顔面蒼白、脂汗はダラダラ。
幸か不幸か、その時同じ会社に勤務していた妻がすぐ側にいた。
「今日はこのままUターンした方がいいよ…」
その言葉を素直に受け入れ、改札を出たところから踵を返し家路へ。
片道2時間弱。
非常に辛く虚しい帰還だった。
時折顔を見せては引っ込めていたあの「怪物」が本格的に襲ってきたのかもしれない。
そんな事を考えていた。
こうなってしまった以上、会社の産業医面談を利用することや自宅の近くで通いやすい心療内科を探すことなど、思案しなければいけないことが出てきた。
以前は電車を利用して少し離れた場所にある心療内科に通っていたが、もし自宅にいる時に発症してしまった場合、家の近くにそういった施設がなければとてもじゃないけれど動けないかもしれない。
そう判断せざるを得ない状況に追い込まれたいた。
イラスト/ ©2016 つばめとさくら
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