きれいなのがフツー幸せがフツーの私になる④別居結婚 それぞれ苗字が違う新家族

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 自分たち、ふたりの息子たちへのケジメとして簡略な結婚式を挙げた。
参列してくれて友人たちが口々に「おめでとう」と言ってもらうたびに

あぁ、結婚するんだ
暮らしが変わるんだ
幸せなことなんだ
私、幸せになっていいんだよね、と気持ちが変わっていった。

二次会は、彼の友人、ネパール人のお店を選んだ。
会がはじまってすぐに、ショットでテキーラを交わし、ものの20分ほどで彼や友人次々にダウン。
その様子を見た母が怒って帰り
友人の子供は、ネパール料理が辛いと言って泣き出す始末。

老若男女、国籍もさまざまな友人たち数十人でゾロゾロと場所を変えて飲み歩く様は目立ったらしく、その場で出くわしたテレビクルーの取材を受けたほど。

統一感のまったくない集まり
これがこれからの私の家族形態を表してもいた。

思春期のふたりの息子
この子たちと旅行に行けるの、これからはそうないかもしれない。
白浜やディズニーランドでは、心動かさないだろう。

「そうだ、ハワイに行こう!」


大きなこぶふたつつ付きの、新婚旅行に出かけた。

コンドミニアムを借りて、自炊するチープな旅行。
一日海で泳いで買い物に行き、4人で食事の用意をし、他愛もない会話をして過ごす非日常な時間。
初めてみる海と空に、息子たちも喜んでいたけれど、私にとっては卒業旅行だった。

いくら別居結婚とはいえ、息子ふたりとの生活が終わる。

世間から見れば、離婚し、ややこしい不動産を引継ぎそこで暮らし、やんちゃな息子がふたりいて、なんと荒れた家庭と思われていただろう。

けれど、私にとっては、鬱積から解放された輝く空間でしかなく、ふたりの息子に何度も心を支えてもらった。まだまだ子供だけど、男としての逞しさを何度も見せてくれた母子3人の暮らしは、私の人生の宝物そのものだったのだ。

好きなことを仕事にすると、ワケわからないことを豪語している母
親の勝手を許し続けてくれている息子たち

ハワイの空気を感じるよりも、私の心は懺悔と、3人の暮らしを失うもの悲しさしかなかった。

夫は16年経った今でも不満気に、このときの旅行は添乗員でしかなかったと言う。
今こうして書いていて本当にそう思う。


こうしてハワイでの旅を終え、別居結婚生活がはじまった。
未入籍ゆえ、私は本来の姓
息子たちは前夫の姓
4人で3この苗字。

夫は息子たちに
「父親になろうとは思わない。けれど仲良くやっていきたいと思う」と挨拶してくれた。

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