自分らしくを大切にする人生 その7 ~自分を大切にするためにJICA職員を辞める。そしてガラクタ整理との出合い。~
ある朝目が覚めると、世界が左に傾いて見え、左半身がしびれ、救急車で運ばれ。その体調不良の原因は自分を大切にしていないことだと気付き、僕はある決断をしました。
僕は大学院を卒業後JICAという組織に入りました。
大学院生のころから国際協力に関心を持つようになり、国際協力の大学サークルを立ち上げて、大学祭でお店を出したり、勉強会をしたりなどしていました。
JICAは独立行政法人で、日本の政府開発援助を行う組織。まさか僕が入れるとは思っていなくて、入れたときは本当に感動しました。
そこでの経験は僕は本当に感謝していて、JICAでの経験があったから、今こうしてフリーランスでがんばれていると思っていますが、
やはり大きな組織で、自分の意見だけでは動けない、組織の一員として動かなくてはいけないことが多かったのも事実でした。
JICAを批判したいとか、そんな気持ちは全くなくて、
ただ、僕は実際に仕事をしてみて、組織から期待される仕事をこなすことばかりを優先して、自分をどんどん「なおざり」にしてしまったのだと思います。
「社会人なんだから~すべき」「まわりは~と自分に期待しているんだから」
と、「べき」や周りの期待の中で、本当の自分の気持ちをどんどん押し殺していたのでした。
あたりまえですが、組織は組織の目的があって、僕を大切にするためにあるわけではありません。
自分を大切にして生きていくには、僕にとってはとてもしんどい場所でした。
大丈夫でなくても、「大丈夫です」と言ってみたり、
本当は嫌なのに、「大丈夫です」と言ってみたり、
自分の信念とは違うことでも、職員として発言しなくてはいけないこともあったり。。。
そしてある日起きた体調不良。2週間、仕事もできないし、日常生活もまともに送れないようなそんな日々。人生で最大の挫折でした。
しかし、それを通じて「自分を大切にする」ということを学びました。
「僕は今JICAで仕事をしながら自分を大切に出来ているかな。これから先JICAでずっと働きたいかな。」
立ち止まって自分に問いかけた時、答えははっきりと、
「NO」
でした。
あんなに入りたくて入りたくて、ものすごく入りたくて、
ものすごく努力をして入ったJICA。周りからもすごいねーと言われたし、安定もあったJICA。
でも自分の気持ちはもうそこに情熱を持っていなかったのでした。
「JICAをやめよう。」
突然の体調不良に襲われたのが30歳を過ぎたある年の6月だったのですが、
そのちょうど1年後の6月に僕はJICAを去りました。
上司に相談にいった時、
「次にやりたいことは決まっているのか?」
と聞かれ、
「はい、NPO関係で働きたいと思っています。」
といったことを答えたのを覚えていますが、
本心はそうではなかったのでした。
何か現場に近いことをやりたい、
マネージメントする側ではなくて、直接手を動かして、直接人と接せられるような、
そんな現場の仕事をしたい。
おぼろげにそんな気持ちはあったのですが、
JICAを辞めると決断した時、次にやりたいことは明確には全くなかったのです。
本当にありませんでした。
ただ、当時住んでいた沖縄は大好きだったので、このまま沖縄に住み続けよう、ということだけは決めていました。
今思うと本当に無謀だったなとも思います。
貯金もほとんどない僕が、次の仕事も全く決めないで、ただ辞める。
しかし、当時の僕の心ははっきりと「自分を大切にする」という決意していたので、JICAを辞めることに全く迷いもありませんでした。
よく覚えているのですが、JICAを辞めた年の手帳を購入した時、
カレンダーのページに、はなまるマークでJICA卒業とカラフルな色で書いたのを覚えています。
やっと卒業できる。ここで僕は次に行くぞ!
そんな気持ちでした。
JICAを辞めたという話をすると、
「すごい勇気ですね!」
とも言われることがあるのですが、それも僕は実はそんなに勇気があったとも思っていません。
本当に、自然に、
「JICAを辞めよう。」
「ここにいても僕は幸せにはならない。去ろう。」
といった気持ちだっただけなのです。
そして僕は5年間働いたJICAを辞めました。
辞めてようやく自由を手に入れた僕。
しかし、
生活していくために仕事をしなくてはいけません。
その一方で、辞めることを決断してから、次に何をしようかと考え始めたのですが、全くやりたいことが出てこなかったのです。
インターネットを検索すると、転職サイトがいろいろあって、また転職雑誌も見たりして、
そこにはいろんな人の転職サクセスストーリーが出ていました。
それまでの経験を生かしてこんな分野に。
自己分析をして、自分の強みをもっと生かす転職が出来た。
夜な夜なそういったサイトを見ては情報収集をしたり、
いろんな説明があってそれをまねてみようと思った僕でしたが、
ふと、
「ちがうな」
と思いました。
「これじゃこれまでと同じじゃない」
と思いました。
つまり、社会の成功例としては、転職はこんな形がある、
自己分析をしてもっと自分の強みを把握するべき。
一般的な転職の方法としてはそういったものだと思うのですが、
自分はただそういった社会のやり方に合わせようとしていたのでした。
倒れる前と同じようなパターンを繰り返そうとしている自分に気づいた僕は、
そのやり方をやめました。
そして社会の転職の仕方はそうかもしれないけど、とにかく僕は本当自分が情熱を持ってやれることを探そうと思いました。
本心でやりたい、
本当にやりたい、
そう思えるものを探そうと思ったのでした。
しかしその情熱を持てるものが全く出てこなかったのも事実。
このままだと大変だな、どうしよう。
JICAを辞める期限はどんどん近づきますし、それでも次のステップのビジョンは全く出てきません。
そんな時に、ふと、当時よく読んでいたある方のブログに、有名なガラクタ整理の第一人者が日本で初めてワークショップを開催する、というお知らせを見たのでした。
その人は、カレンキングストンという人。
その告知のキャッチコピーに、「ガラクタを捨てれば人生が変わる」といったことが書いてありました。
物を捨てたら人生が変わる?
僕に必要なのはこれじゃないか!
とピンと来ました。
また、そのブログを書かれていた人の講座を受けたり、本を読んだりしていた僕は、この人がお勧めするセミナーなんだからきっととてもいいセミナーに違いない!とも思いました。
そして僕は彼女の日本で初めてのセミナーを受けることを決断したのでした。
JICAを辞める2ヶ月前くらいの出来事です。
そのガラクタ整理との出合いが、僕の人生を次のステップへとつなげてくれることになりました。
後で分かったのですが、カレンキングストンさんは世界の大ベストセラーで、20ヶ国語以上で本が翻訳されている第一人者。日本でも、『ガラクタ捨てれば自分が見える』という本がベストセラーになり、当時アマゾンの風水分野でも1位をとっていました。
その彼女のセミナーを受けた僕。
セミナーを受けながら、これだ!今僕に必要なのはモノの整理だ!と思いました。
家を見返すとものが本当に多かった家でした。
当時友だちが家に遊びに来ると10分くらい外で待ってもらわないと、家の中を見せれないような僕。
そして家に入ってもらっても、
「その扉は開けないでね。」
「冷蔵庫は開けないでね。」
「向こうの部屋は入らないでね。」
といった感じで見せられないものがたくさんありましたし、
遊びに来た友達には、
「なんでお前の家はこんなに統一感もなくて、ごちゃごちゃしているの?」
と突っ込まれるような家。
そんなものがたくさんあった僕が、ガラクタ整理に出合い、実際に家のガラクタを整理していくことで人生が劇的に変わり始めたのでした。
自分を大切にしようと決めてJICAを辞めると決めたのはいいが、
次にやりたいことが何も見つからなかった僕。
将来への不安が高まってきて、どうしよう、と思っていた僕。
その突破口を開いてくれたのがガラクタ整理でした。
このガラクタ整理が、今の僕の仕事になり、本を3冊も書くチャンスをいただくことになっていくのでした。
その話はまた次回、詳しく書きたいと思います。
ps 両親にはこの時期本当に心配をかけました。JICAを辞めることも、そして辞めたことも報告していなかった僕。きっと心配するだけだろうと思ったから、落ち着いたら報告しようと思っていました。
しかし、国民健康保険への切り替えの通知が実家に送られてしまい、父親がその封を開けて中身を確認してしまったのでした。
ある日沖縄の僕に電話がかかってきて、
「JICAを辞めたのか?」
と聞かれ、
「うん」
と答えた僕。
「これからどうするんだ?」
と聞かれ、いろいろ説明はしたものの、当時はまだ本当にやりたいことも明確でなかったし、プランもなったので、ちゃんとした答えは父親に言えませんでした。
「実家に帰ってきたらどうだ」
といったことも何度も言われました。
親戚にもその話はすぐに広がり、親戚の人からも心配され、岡山につれて帰ったほうがいいんじゃないか、という声がたくさんでそうです。
息子からカミングアウトをされたと思ったら、
その5年後くらいには、内緒でJICAを辞めたと知った両親。
その後の具体的な仕事も全く決まっていない僕を見ながら、両親は本当に心配だっただろうなと思います。
JICAには入れたことを本当に喜んでいたし、鼻高々だった両親にとってはとても大きなショックだったと思います。
本当に、お父さん、お母さん、心配ばかりかけてごめんなさいね!
そして、それでもいつも応援してくれて、本当にありがとう!
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