太陽が生まれたハーフマイルビーチ その4

前話: 太陽が生まれたハーフマイルビーチ その3
次話: 太陽が生まれたハーフマイルビーチ その5

逗子と言えば「海」。規模では鎌倉の「由比ヶ浜」に後れを取る。雰囲気では葉山の「森戸海岸」に軍配があがる。では「逗子海岸」の魅力とは。

今年も6月3日(金)逗子海岸で花火大会が開かれた。

何故こんなに早い時期に、そして平日に行われるのか?

その答えは海岸が狭いので海の家を建ててしまうと見物客が入る場所が無くなってしまう為。

海流の変化のせいか年々海岸の砂が少なくなってきており、大潮の時にはビーチチェアが波に洗われそうになることも。地球温暖化の影響か?と騒ぎにもなりましたが、一方で近所で海岸が太っている所があるそうなので「砂」が移動していると言うのが正しそう。

また平日にも拘らず10万人の見物客で賑わっており、これ以上の見物客はコントロール不可能。

市もテレビ局の取材を断っていると聞いている。


何故そんなに人気があるのか?

一つには交通の利便性。都内から横須賀線一本。駅から古びた商店街を経由して10分くらい。

帰りも増結車両連結駅なので、少し待てば間違いなく座れる。

もう一つは非常にコンパクトな事。1km(ハーフマイル)の海岸の沖から打上げを行うので花火から近い。実際、注意書きには「花火の燃えカスが落ちてくる畏れがあるので長袖を着るなど注意して下さい。」とある。

時間も45分間。この短い間に7千発の花火を打上げる。

中でも最後の15分でこの内の6千発を集中して打上げる。その音は地響きがする程で大迫力。


この花火大会が終わると大急ぎで「海の家」の建設が始まる。

今年は6月24日から営業開始だから3週間しか無い。

かつては規制も緩く近くに米軍基地があるからか外人が大挙して押し寄せていた。

またライブハウスが夜遅くまで大きな音で演奏をして近隣住民からの苦情が止まなかった。

昼間から途中のディスカウントストアで買って来た大量のアルコールを持ち込み、狭い浜辺でバーベキューをやった挙句に使った鉄板や網を捨てていくという輩もいた。

若者が大挙して来た一方で、家族連れが怖くて来なくなるという事態に至った。

海の家の業者も昔からの権利を持つ人達が高齢化も有り、権利を市外、県外の人に転貸。

これも地元を顧みない傾向に拍車をかける事となった。

そこで市議会で規制を厳しくする条例を可決。

・海岸での飲酒の禁止

・海岸でのバーベキューの禁止

・入墨は他の利用者を畏怖させるものの露出禁止

・業者は楽器、拡声器で音楽を流すことを禁止

・利用者が音楽を聴くときはヘッドホン

・閉店は午後6時半

海岸の入り口には禁止事項を並べた表示や交通標識の様に赤い大きな❌が仰々しく並び、

(ここはシンガポールか?)と見紛うばかり。

業者や若者からは「厳しすぎる」との批判も出て、実際、海岸は週末でも人がまばらという状況が1年ほど続いたが、今では「安心して家族、子供と来れる海岸」として利用者も戻ってきている。



著者のTachibana Toshiyukiさんに人生相談を申込む

続きのストーリーはこちら!

太陽が生まれたハーフマイルビーチ その5

著者のTachibana Toshiyukiさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。