自分らしくを大切にする人生 その9 ~アメリカで婚約した恋人と別れ、お金も、夢も、家も失う。でも本当の僕までは失わなかった。自分らしくより強くなれた経験です。~
友人にお願いして、それをきれにしてもらって、とりあえず僕の荷物はその友人の家に引き取ってもらいました。
もうあの家はない。
もう二人の関係もない。
僕の荷物は友だちの家に。
そんな現実を考えると、もう押しつぶされそうでした。
全部失ってしまった。
そう思いました。
彼との愛も。
家も。
夢も。
お金も。
希望も。
本当に奈落のそこに突き落とされたような気持ちになったのですが、
瞑想の学校で一緒に練習をしていた日本の友人たちや、僕と彼のことをよく知っている海外の人もスカイプやメールで支えてくれて、
僕は少しずつ落ち着きを取り戻すようになりました。
そして、気付いたことが、
僕は全部をうしなっちゃったけど、でも本当の僕は失っていない。
ということでした。
外のものは全て失いましたが、でも心の中には本当の僕は変わらずいる。
僕は昔の僕のまま。この僕までは失っていないんだ。
そう思うと、少しずつ元気も出てきました。
今は雲がかかってつらいことも多いけど、その向こうには本当の僕が太陽のように輝いているんだ、
そう気付けると、その太陽を信じて、生きていこう、と思えました。
全てを失ったと思ったのですが、
実は失っていなかった本当の僕。僕の内面。
それに気付けたことで、僕は昔よりももっと強くなれました。
僕は僕で変わらない。
太陽のようにありつづけるんだから。
自分らしく生きよう。
そんな風に思えたのです。
その後すぐ、アメリカでの瞑想の学校のコースを受講する時に一緒に友だちの家を訪れ、荷物を受け取りにいきました。
友達の家のあるお部屋に、思い出の品々がありました。
もうあの二人の家ではなくて、今この目の前のダンボールの中に。
彼のよく着ていた服も、そのダンボールに。。。
それを見ると、僕は僕で変わらないって強くなれた気持ちでしたが、やはり涙が止まりませんでした。
友人はとても親切で、いいよ、気にしないで。
持って帰れるものを日本に持って帰ってね。
と言ってくれて、とりあえず荷物を選別し、僕は日本に持って帰れる分だけ持って帰ることになりました。
日本に帰る数日前、彼から急に連絡がありました。
「会いたい」
と。
僕はてっきりサンフランシスコではなく、実家に帰っていると思っていたのでびっくりだったのですが、
とにかく会おうということで会いました。
そこには、昔の彼はありませんでした。
急に太り、目はうつろ。
あんなに愛し合っていて見つめ合っていたのに、アイコンタクトもほとんどできず、遠くを見ています。
「なんでもっとみんなのアドバイスを聞かないの?」
「素直にもっと聞かなきゃだめじゃない」
って言っても、彼は、
「周りは僕をちゃんと理解してくれていない」
といったことを言うだけ。
何を言っても無駄でした。
婚約者がこんな風になってしまって、
もうとにかくつらかったのですが、話が通じない彼と話を続けていてもらちがあかないと思い、
「僕も全てを失ってつらかったけど、でも本当の自分は変わらず僕の中にいるんだってわかったよ。」
「~~も、ちゃんと自分を見失わずやってね。それしか僕は今は言えない。」
そう言って、僕はその場を立ち去りました。
やっぱりとってもつらくて、歩きながら涙が止まりませんでした。
でも、本当に、ここは去ることが彼のためだ、あまやかさず、彼も自立しないと、と思い、
ひたすら振り返らず歩いた僕。
彼が見えなくなっていくある路地を曲がる時、一度振り返ると、彼が寂しそうな顔をして立ったまま僕を見つめていました。
そのよわよわしい寂しそうな姿は今も忘れられません。
僕はワンワン泣きながら、これが彼と会った最後です。
それ以降彼とは会っていません。もう2年たちますが、今もそこそこ回復はしているようですが、昔の彼の明るさはまだ戻っていないようです。
遠く日本から応援しています。
こんな本当にドラマのような出来事があって、
日本に帰ってきた僕。
彼とのことは本当につらかったのですが、でもやっぱり、自分の中の太陽、本当の僕はいつも僕の中にあるって感じ続けていました。
それにより、僕はこの経験を通じて本当に強くなりました。
僕は僕らしく。
そう思えた時に、一つの決断ができました。
ゲイであることをカミングアウトしよう。ということでした。
それまではプライベートではカミングアウトしていました。
でも、ガラクタ整理師として、仕事の時はゲイであるということを伏せていました。
ゲイであることを伝えよう、
彼との別れで強くなれた僕は、それを決意したのでした。
続きは次回に。。。
ps。
彼と最後の別れをして、ワンワン泣きながらとめてもらっていた友人に話をすると、
「よくがんばった!えらい!それが本当の愛よ。」
と褒めてくれて、いいところがある、と連れて行ってくれたのが、サンフランシスコの対岸オークランドにあるこの場所。
ドライブして、アイスも食べて、このカリフォルニアの青い空の下で、寂しさも癒えたのでした。その友人にも本当に感謝です。
ワンワン泣きましたが、こんな風に笑顔にもなれました!
著者の竹内 清文さんに人生相談を申込む
著者の竹内 清文さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます