自分らしくを大切にする人生 その11 ~いとこのカミングアウト。自分らしくを生きる人が身近にいるうれしさ。~

前話: 自分らしくを大切にする人生 その10 ~アメリカで婚約までした彼を失った経験から強くなれた僕。「自分らしく」ありのまま伝えようと、仕事で公にゲイであるとカミングアウトしました。~
次話: 自分らしくを大切にする人生 その12 ~勇気を持って生まれ育った岡山県津山市でLGBTs入門講座を開くことを決断。~

今年の東京レインボープライドというLGBTのイベントでの一枚。一緒にいるのはいとこのごろうちゃん。


2年位前だったと思います。彼からメールがありました。

相談があると。


それは彼が自分のことをどう受け入れたらいいのか悩んでいるメールでした。

付き合っている女性がいて、仲はいいし楽しいんだけど、手をつないだり、キスをしたりとかができない。身体が受け付けない感じがする。

男性に興味はあるが、でもどうしたらいいのかわからない。

そんな内容でした。


ごろうちゃんは父親側のいとこ。彼が生まれた頃から知っていて、実家の岡山でも、ごろうちゃんの住んでいた埼玉でも、東京でも一緒によく遊んでいました。

そんなごろうちゃんから突然届いた連絡。


僕はごろうちゃんと彼のおねえちゃんに一緒に10年以上前に、僕がゲイであることをカミングアウトしていましたので、彼は僕がゲイであることを知っていました。

そしてこの5年くらいは、たしか一緒に遊んだ時も、そろそろ結婚を考えているということも言っていたので、ごろうちゃんは異性愛者なんだなって思っていました。


それがある日のこの連絡がきて、

それでとりあえず電話で話をしました。


どんな風にしたいの?

いつころから違和感があったの?

どんな気持ちなの?


といったことを聞くと、ごろうちゃんは素直にいろいろ話してくれました。

でもその電話ですぐに彼も自分がゲイかどうかも決められるわけではないし、

僕も別に焦って決める必要もないし、自然に自分の気持ちがしっくりくることをすればいいんじゃないのかな、といったことを伝えました。


その後数ヶ月して、

「やっぱり僕はゲイなんだと思う」

と言っていたごろうちゃん。


ずいぶん前から同性に興味はあったそうなのですが、

「同性愛は悪いこと。結婚しなくちゃ。」

って気持ちがあって、自分の素直な気持ちを受け入れられなかったそうです。

それで、何とか異性に興味をもつように努力もしたそう。


でも駄目だった。


やっぱり自分が自然に思うようにやってみたい、

とごろうちゃんは心を決めたのでした。


それからもっとごろうちゃんとは仲良くなって、

一緒に新宿二丁目に飲みに行ったりもしました。


実は後でごろうちゃんに聞いて分かったのですが、僕は彼と彼のおねえちゃんにカミングアウトをした後、二人を新宿二丁目に連れて行っていたそうです。

その時僕はごろうちゃんをお店の人に、
この人はいとこで、でもストレートのひとなんだよ、

といった風に紹介したそうですが、

その当時からごろうちゃんは、

「本当はちがうのになあ」

って心の中で思っていたそう。


ごろうちゃんの僕へのカミングアウトがあって、本当にうれしくて、

なんだか、いとこでゲイっていいじゃん!って。


ごろうちゃんも本当にうれしそうで、女性を愛そうと無理をしなくて生きられる、

自分らしく生きていこうって思えるようになってどんどん楽しそうになっていったのでした。

それをそばで見ていられるのもとてもうれしかったです。


ごろうちゃんだけでなく、

本当に多くのゲイの人が本当は同性に興味が向くのに、それを無理して直そうとする人が今でもいるように思います。

それはやはり、世の中ではゲイや、さまざまなLGBT(性的マイノリティ・セクシャルマイノリティ)の人たちは変わった人、変な人、普通じゃない人というイメージがまだまだ強いからでしょう。


だから本人達は本当に悩みます。

自分の自然な気持ちを肯定できないというのは本当に苦しいことです。

「よくないこと」って思って抑えようと思っても止まるものではありません。自然に、本当自然に出てくる気持ちなんです。


それは異性愛者の人が自然に異性に魅かれるのと同じ。

本人は自然に異性に興味が行っていると思います、僕達ゲイも自然に同性である男性に魅かれるのであって、何か奇をてらっているわけでも、変わったことをしようと思ってやっているわけではありません。


その自然な気持ちが受け入れられないというのは本当にきついです。


僕も相当ゲイということで人生で悩んで来ましたが、

ごろうちゃんも相当悩んだんだろうなあ、「普通」になろうとして相当努力したんだろうなぁと思いますし、でも今それをしなくてよくなった、そのままの自分の気持ちを受け入れられるようになって、自然体で生きられるようになったのは本当に幸せなことだと思っています。


ごろうちゃんはaktaというLGBTのNPOで今ボランティアをしていて、そこでたくさんの人との出会いもあるようです。以前は一人だったのが、仲間に出会えるようになって、それもとてもうれしそうです。


そして今年は二人で東京レインボープライドに出ました。

「ふたりはいとこ」「we are gay cousins」って書いて出ようね!って二人でワクワクしながら準備しました。

実は去年も出たのですが、その時はまだごろうちゃんもカミングアウトしたてで、街をパレードして歩くということも初めてのことだったので、とりあえず二人で楽しく歩いたのでした。

でも今年はもっと自分のことを受け入れられるようになって楽しそうになってきたごろうちゃんと、一緒にいろんなアイデア考えてこの東京レインボープライドに行きました。



目立つなら絶対ピンクがいいよね、と思って、僕はピンクのタンクトップを準備。

ごろうちゃんも似合う!


手作りの横断幕には「ふたりはいとこ」「we are gay cousins」

そして、「おじいちゃんおばあちゃんありがとう」と二人の共通のおじいちゃんおばあちゃんにゲイで産んでくれたことへの感謝も込めて!



この横断幕は結構好評で、外国の方も、

「I love it!」って褒めてくれる人もいました。


ピンク色で目立っていたからでしょうか、日本テレビさんのニュースにも出ていて、いろんな友だちから出ていたねって言われましたし、

インターネット新聞のHuffington Postさんはなんとトップ記事に僕達の写真を出してくださっていたのでした。



僕もごろうちゃんもお互いいろいろ悩んで来ましたが、

でもゲイのいとこ同士で、こうして今楽しめていて、

ピンクのタンクトップを着て街もパレードできて、

ふしぎないとこのご縁ですね。


身内のいとこに「自分らしく」を大切にしている姿を見れることはこれも何か神様からのプレゼントなのかもしれません。

苦労して悩んだことも、乗り越えて、受け入れられるようになると、幸せに変わっていく。

ごろうちゃんの姿を見ながら、やっぱり自分らしくって大切だなあと僕はかみしめています。


そして!

こちらが僕らのおばあちゃん。

おじいちゃんはもう天国に行ってしまいましたが、おばあちゃんは92歳にして今もとっても元気。この写真もついこの3月に東京までやってきた時に一緒に撮った写真。帰りは一人で新幹線にのって帰っていきました。


歩道橋もなんなくすたすた歩くし、未だに畑仕事や家の家事もこなすパワフルおばあちゃん!


ぼけることも全く知りません。


「早く結婚しなさい。」

「結婚しないと安心して死ねない。」

と、会うといつも僕らに説教をしていて、

僕らはただ笑いながらごめんねー。としか言えないのですが、

でもそれも大正時代に生まれ、戦争を生き抜いたおばあちゃんの愛情なんだなって思っています。


僕らのおばあちゃんも自慢のおばあちゃんです!

続きのストーリーはこちら!

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