自分らしくを大切にする人生 その12 ~勇気を持って生まれ育った岡山県津山市でLGBTs入門講座を開くことを決断。~
生まれ育った岡山県津山市でLGBTs入門講座を開催しようと決断した僕。
今年8月11日に開催することを決めました。
先日、そのイベントについて津山市と津山市教育委員会から文書が届きまして、後援をいただきました!
そして昨日津山市社会福祉協議会からご連絡があり、こちらの後援もいただけることになりました!
市、教育委員会、社会福祉協議会と、3つの団体から後援をいただけるというのは本当にうれしいことです。
小さい頃育った津山市(旧勝北町)。本当に悩んだり、誰にも相談できなくてしんどいことがありましたが、
LGBT性的マイノリティのことを行政が理解し、意義ある事業だと認めてくれるということで、その苦労が癒されるような、そんな気持ちにもなっています。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
行政の後援をいただけたので、これでもっとより多くの人に知っていただくことにもなるでしょうし、
一般の方にもより大切な事業として見ていただけると思います。
また、地元の当事者の人に対する応援メッセージにもなれば、と願っています。
行政が後援をしてくれている、
公の機関が大切なことだと認識している、
ということは一人で悩んだり、自分がおかしいんじゃないかって自己否定してしまう人にとって、
ちょっとでも応援になると信じています。
「大丈夫!」
そんなメッセージになればと思っています。
この講座を企画するにあたり、最初は本当に悩み、ある意味「不快」な企画でした。
地元でやるということは、家族や親戚の耳にも入ることになります。
両親にはカミングアウトを10年くらい前にしましたが、両親にとっては受け入れることが難しい内容で、決裂した形になってしまいました。
今でも両親との仲はとてもいいのですが、その話題については触れられていません。
蒸し返すと怒るかな、気まずくなるかな、と思って、僕としてもなかなか触れることができません。
親戚の方からは実家に帰ると、「結婚はしないのか?」といつも聞かれますし、そんな親戚の人にこの講座のことが耳に入れば、実家に問い合わせの電話が入ることになるかもしれないし、
両親の友人が見て、両親に「あなたの息子がこういうことしているぞ」って言われて、それで両親も嫌な気持ちになるかもしれない。
そんなことを考えていると、とてもじゃないけどやれない、
やるのが嫌だな。
そんな気持ちになりました。
でも、
そんな気持ちと同時に、落ち着いて考えれば、特に田舎ではとても大切なテーマであるのも事実でした。
僕と両親との関係のように、親に理解されないで悩んでいる人もきっといます。
そもそも家族に絶対知られたくないと、装っている人もいるかもしれません。
「結婚して、子どもを作るのが当たり前」
という田舎独特の常識がまだまだあって、
「結婚しないのか?」
と聞かれて、心が重くなる人もたくさんいると思います。
そんな田舎だからこそ、やる意義があるもの。
まだまだ理解が進んでいないからこそやる意義がある。
そう思ったとき、こんなに大切なことなんだから、勇気を出してやろう!
と決断しました。
ちょうど今、先延ばしを克服する、ということをいろんな講座やオンラインで伝えていて、
そこでのメッセージは、「不快なことからやろう」ということ。
不快なことが大切なことであり、それはやらない限り、ずっと目の前からは消えず、自分を悩ませたり、気になり続けるもの。
まさにその不快なものがこの講座の企画だったわけです。
不快だということは、大切な証拠。
だったらこれからやらなくちゃ!
と実施を決めたのでした。
そして、早速動き始め、ネットで津山市のLGBTのことを調べると、津山男女共同参画センターのことを知りました。
そちらに問い合わせたところ、担当の方がとてもご理解がありました。
とても大切なテーマだとおっしゃって下さり、ぜひ開催する場合は参加するとおっしゃって下さいました。
後援を申請しようとしたところ、そのやり方、津山市と教育委員会とでは窓口がちがい、それぞれに申請しなければいけないことなどについても細かく教えてくださり、
無事後援をいただきました。
社会福祉協議会さんからも後援をいただくことができました。
また、男女共同参画センターの方は津山市生涯学習人材バンクの存在も教えてくださり、
今後岡山県北でLGBTについての講座や学校の先生に対する研修などの需要も高まるであろうから登録をお勧め下さいました。
まさかこのようなご提案までいただけるとは思っていませんでしたので、本当にうれしく、
早速登録させて頂きました。
今後生まれ育った津山でLGBTのこと、自分らしく生きるということを伝えていく機会が広がりました。
そして、さらに、津山市と津山市教育委員会の後援がいただけたということで、
市内小中学校(ここには僕の母校も含まれています)、公民館、市役所、図書館、男女共同参画センターなど関連する機関にチラシを配布いただき、イベント周知にご協力いただけることにもなりました!
自分にとっては、奇跡のような、そんな気持ちです。
まさかこれほどまでにサポートいただけるなんて、企画をした段階では全く考えておらず、
どうやって周知しようか、どうやったらみなさんに知っていただけるかと悩んでいました。
行政の方がここまでサポートしてくださるということは、
このLGBTのこと、人権のこと、多様性の尊重について本当に大切にしたいと思ってくださっているのだと思います。
そのお気持ちに是非こたえられるような講座にしたいと思っています。
また、同級生や恩師にも呼びかけたところ、22名もの方が賛同者として名前を出してくださいました。
このイベントを応援してくださっています。
特に、小学校の時、一緒に遊ぶのが本当に楽しかった女子の同級生がたくさん賛同してくれて、
それもとてもうれしいです。
彼女達が実行委員会にも入ってくれ、告知にも協力してくれています。
他にも同級生がちらしの配布や当日受付にも協力くださいます。
ゴムとびとか、ままごととか、一般的に女の子がする遊びが僕は好きで、
でもそれが周りの男の子とは違うということで、変だとも言われましたし、自分でも悩んで肯定できませんでした。
そして同級生の誰にも相談することも絶対に出来ませんでした。
同性に興味が向くのはおかしい、恥ずかしいことと思って、異性に興味を向かせようと努力をしたり、異性に興味があるふりをしていました。ゲイであることは一生隠して生きていこうと、かたく心に誓っていました。
そんな僕だったので、同級生達が応援してくれるというのは本当にうれしいです。
また小学校5年生の時の担任の島田美保先生は、僕にとっては思い出の先生で、先生が応援くださっているというのもとてもうれしいです。
当時、苦手な同級生がいたのですが、その同級生の言うなり担っていた僕に、島田先生は真剣な顔で、
「なんで逃げるの?逃げないで「嫌」って言わなきゃ駄目よ」
としかってくれました。
放課後1人教室に残され、先生と一対一でした。
僕は当時はその意味があまりよくわからず、
「だって逆らうと余計やられるし、ずっとこの苦手な同級生とつきあうわけじゃないし、だまっていればいいじゃない」
としか思えなかったのですが、
でもこの僕の苦手な人に嫌と言えないで、言いなりになってしまう傾向は人生でずっと続くパターンになって、
中学校の時も、高校の時も、大学の時も、就職してからも、付き合った人に対しても、
嫌やNOが言えない人間になったのでした。
その本質的な僕の部分、
それが始まった時にちゃんと僕のことを見てくださっていて、気にかけて真剣にしかってくれたのが島田先生でした。
先生の鋭い洞察力には感服します。苦手な人に言いなりになって、嫌と言えないのはだめだよって、真剣に応援してくれていたのでした。
大人になってそのパターンに気付き、30代になってようやくNOと言えるようになってきました。
先生のあの言葉を思い出すと、ただただ感謝の気持ちです。
僕がゲイだということをブログのカミングアウトを通じて知り、
わざわざ連絡を下さって、会ってくださり、カミングアウトをしたことを「よくがんばりましたね。」と褒めても下さいました。
特に小学校高学年の頃から、周りの男子と違うことで悩み、誰にも相談できない日々が続いていたので、
その当時を知る先生から、
「よくがんばりましたね」とほめていただけるということは、
それまでの苦労が全部吹っ飛ぶような、
そして本当に自分、負けずにがんばってきたな、と思えて、
涙が止まらなかったのでした。
その思い出の島田先生、
今回の講座のことをお伝えするとがんばりなさいと応援してくださっていて、
当日も行きます!とおっしゃってくださっています。
また「あなたが教え子でよかった」ともおっしゃってくださって、
なんだか、僕がいろいろ教えられてばかりだったのですが、こうして先生に言っていただけて、
やっぱりこの講座を企画してよかったな、と思えています。
そしてさらに、フェイスブックで繋がっている、母親の同級生の方が、
「講座に母親を誘うよ」、と申し出てくださいました。
母親に言うと反対されるかな、怒るかな、
と思って黙ってやろうと決めていたのですが、
まさか母親の同級生の方が母親に伝えてくれるとは。
直接息子から言われるよりも、仲良しの同級生から言われたほうが母親にショック(!?)も少ないかな、と思っていて、予期せぬその方の橋渡しにも本当に感謝です。
戦後すぐ生まれの、田舎育ちの両親にとって、いきなりゲイである息子を理解しろ、というのも難しいことだと思っています。変にがんばって理解してもらおうとする必要もないのかなと今は思っていて、でもこうして橋渡しをしてくださる方がいることはとてもありがたいことです。
と、このように、
企画するまでは本当に悩んで、
家族や親戚の反応、地元の人の反応を気にして、
やるのが怖い、嫌だな、と思っていた地元津山市での講座ですが、
実際に企画して動き出すと、
本当にたくさんの人が協力してくれているこの講座。
まだ開催していなくて、2ヶ月先のことでもあるのですが、
もうすでに僕は胸がいっぱいです。
こんなに応援してくださるなんて。
是非この講座を通じて、津山市にLGBTのこと、他人と違っていても自分らしく生きる自己肯定感の大切さを伝えたいという気持ちでいっぱいです。
悩んだ分、伝えられることがあると思っています。
ぜひがんばろうと思います!
以前は先延ばしをして、不快だからやらない、としていたのに、
こうして先延ばしをやめて本当によかった!とも思います。
自分が不快なことにチャレンジすると、自分が予期せぬ大きな成果が上がるんだということも学びました。
「やる前が一番嫌」
というのは本当です。
やる前が本当に嫌で、悩んで、怖かったけど、
やり始めるともうそんな気持ちはありません。
がんばるぞ!という気持ち、
みなさんの応援への感謝の気持ちや温かい気持ち、
そればかりです。
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