エストニアどうでしょう②ー① タリンの第一印象

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エストニアの空港に降り立つと、その日から3ヶ月間泊まることになる安ホテルの従業員の方が迎えの車を用意して待ってくれていた。

少しはにかんだ笑顔の素敵な20歳ぐらいの男性だ。

実はこの「はにかんだ笑顔」こそがエストニア人の性格を象徴するしぐさであることを僕は後々この国での体験を通して知るようになるのだが・・・


僕は彼に23kgのスーツケースをトランクに入れてもらい、バンの後部座席に乗り込んだ。車は空港を出てタリン市内を走りだした。けれども車に乗っている間、僕にはなんとも言えない不安がよぎった。窓から見える夜のタリンの光景は正直少しくすんで見えたのだ。数時間前に乗り継ぎで滞在したヘルシンキ空港の様子と比較して発展途上国感が否めないというか、旧ソ連感が否めないというか、どこか洗練されていない感じを受けた。


道路からは埃が舞っているように見えるし、人々の佇まいも少し前時代的に見えた。数時間前にヘルシンキのヴァンター空港に居た時は、空港内の洗練された北欧デザインや、オシャレな人々、多人種から構成される国際感、ムーミン、に僕の心は小躍りしていた。「ついに僕は初めて北欧にやってきたんだ!」と。ヘルシンキの空港でパスポートをうっかり床に落とした時も、近くにいるイケメンが、通話中にも関わらず電話を中断してその事を教えてくれた。それも限りなく100%スマートなしぐさで。その後ヘルシンキから飛行機が離陸するまでの間、僕はその北欧の雰囲気に惚れ込んでいたのだった。


"This is EU! This is Europe!"


絶好調だった。


けれども僕のタリンの第一印象では、そういう都会的で洗練された感じが全くしなかった。まさに僕が描いていた旧ソ連と同じだった。

「うーん、国のチョイスを間違ったかなあ・・」

そんな不安をよそに車は夜のタリン市内を爆走していく。運転も日本のタクシーよりやや荒かった。そんな運転に身体が揺さぶられる度に先のことがますます心配になってきたのだった。


「一体どうなってしまうのだろう。無為な3ヶ月を後悔と共に過ごすことになるのだろうか?エストニアを選んだのは失敗か・・・」


長旅の疲れや時差ボケ、慣れない土地での緊張もあって思考は完全にマヒしてきた。絶望に近い感情が心を支配していった。


「もう終わりだ・・・」


絶望のなか車はホテルに着いた。僕は運転してくれた従業員に礼を言い、23キロもある絶望のスーツケースを持って絶望のホテルの絶望のフロントに向かった。


が、なんとフロントに着いた瞬間、僕のそれまでの「後悔の念」はそっくりそのまま「明日への希望」に変貌を遂げたのだった!


なんとフロントに立っていた女性が見たこともないほど美しかった。丸顔で目はくりっとしていて、鼻筋が通っていた。それでいて物腰も柔らかい感じだった。そんなに綺麗な女性は人生でそれまでに見たことがなかった。「可愛さ」と「美しさ」のいいとこ取りをしたような。年齢は僕とほぼ同じで20代半ばか少し若いぐらいだろうか。僕はこの先3ヶ月分のホテルの予約をしました。「3ヶ月も泊まる人は見たことがない」と驚かれました。「そうですかそうですか。驚いてくれてありがとう!」僕は颯爽とフロントを後にした。


「ありがとうエストニア!ありがとうEU!それほど悪い国ではなさそうだ!」


そのようにしてこれから迫り来るであろう様々な希望を胸に、僕のエストニアの最初の夜は更けて行った。


タリン・セントチャールズ教会



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