第3話:マレーシアでの怖い体験

前編: 第2話:ジャッキーチェンに出会った日の話
後編: 第4話:マレーシアで見た全く新しいライフスタイルと想像を絶するほどの美しい世界

マレーシアでの怖い体験

ペナン島の安宿の女主人に手錠をした警察は、次の標的に向かった。

それは私達だった。


「どこから来た?」


「日本です・・・」






悪いことはしていないのに、懇願するような目で、私達は警察を見上げた。





「それなら、OKだ」






警官達は、私達に笑顔でそう言って、宿の部屋を捜索し始めた。






私達は一目散に、その場を去ろうと、荷造りをした。


手錠をかけられたまま、女主人が、「これ、あなたのじゃない?」と

床に転がっていたタイガーバームを差し出してきた。


今までにないような優しさを、女主人にみた。

とても気弱そうに見えた。


手錠をかけられて、これから警察に連れて行かれるというのに、どんな心境で、どんな意図を持って、最後の最後に親切にしたのだろう?


疑問に思いながら、


「そうです、ありがとう」と受け取った。



タイガーバームなんて、今はどうでもいい、

一刻も早く、ここを立ち去りたいと思いながら、大慌てでパッキングを済ませ、

もう一人の日本人女性と足早に宿を去った。





別の宿を探して、数日後のこと。

朝ごはんを、外の屋台で食べていたら、誰か知らないおじさんが話しかけてきた。



「君たち、あの宿に泊まってただろう。


いや〜、しかし、ラッキーだったね、君たちは」



「なんで、知ってるんですか?私達が泊まってたこと」



「知ってるさ。君たちが、大慌てで、あの宿から出ていくところを、見てたもの」



アジアの田舎でいつも感じるのは、誰も見ていないようで、必ずと言っていいほどいつも誰かしら見ているということ。



「いや、ほんとに君たちはラッキーだったね」



ニヤニヤ笑うこのおじさんは、何かを知ってるらしい。早く、詳しい事情を知りたかった。


「あの宿に泊まってた、君たち以外の外国人客は、全員、警察に連れて行かれたよ。

そして、薬物の検査を受けたそうだ」


私達は、青くなった。


「なぜ、私達は連れて行かれずに済んだんだろう?」



「君たちは、日本人だからさ。


日本人は、そんなことしないって、警察は思ってる」



もし、私達が日本人じゃなかったら、警察に連れて行かれて、検査を受けてたってこと?


何かの間違いで、刑務所に入れられてた可能性もあるってこと?



全く、おっそろしい状況に、知らないうちに巻き込まれそうになってたってことに気づいて、

全身から力が抜けた。




それと同時に、日本人であることに、感謝した。


日本人っていうだけで、検査を免れたのだもの。


先人の日本人が作ってくれたいいイメージに、この時ほど感謝したことはない。


どの国にいっても、日本人というと、とても好印象をもたれる。親切にされる。

「日本人は大好きだ」と言ってくれる。


このイメージを私達も壊すことなく、守っていきたい。




怖い体験のあとは、楽しい出会いが待っていた。


マレーシアの、とある小さな島での出来事。





小さなコテージに泊まり、朝食を食べていた時、欧米人の素敵なカップルが話しかけてきた。


「かわいい女の子がいるわね、と思ってたのよ」


お姉さんが妹を可愛がるような愛情深い目で、そう言った。




二人は、オーストラリアから来た夫婦。マレーシアに住んでいるらしい。


しばらく会話をしたあと、「よかったら、うちに何日か遊びに来ない?」


と誘ってくれ、早速遊びに行かせてもらうことになった。





行ってみると、二人の住まいは、私の想像をはるかに超えるものだった。


こんな暮らし方を見たのは、人生で初めてのことだった。


こんな生き方もあるんだ。日本から出てみなければ決して知ることはなかった、ライフスタイルを見た。



続きのストーリーはこちら!

第4話:マレーシアで見た全く新しいライフスタイルと想像を絶するほどの美しい世界

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