フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第2話
「はい」
助かった!と私は思った。
きっと持ち主からかかってくると思って充電してくれていたのだ。
「あ、私その携帯電話の持ち主です!〇〇駅の電話ボックスに忘れてきてしまって。
あの拾ってくださったんですか?」
「ええ、たまたま見かけたものだから。警察に届けようか迷ったんだけどね」
「感謝します。ありがとうございます!!」
「私さっきまで友達と飲んでてね。私のと同じ機種だったから充電 したの」
「あ、ありがとうございます。あのーどこに取りに行けばいいですか?」
「もう今日は遅いから明日でもいい?」
「もちろんです」
「じゃ、今からいう場所に取りにこれるかな?明日…そうね、夜7時とか空いてる?」
「はい!!」
ここから少し遠い駅名を彼女に言われた。
電車代が足りるかなあ、と頭をよぎったが
そんなことなんとでもなると思い直す。
財布が戻るのだから。
どこまでだって歩いてやるんだ
電話を切った直後、 あっと思った。
財布のこと聞きそびれた。
でも携帯電話と一緒に置いてったんだから無事なはずだよね。
電話を切った後
私は見違えるほど気持ちが明るくなった。
そして足取り軽くアパートの階段を上った。
まさか、この日を境に運命の歯車が狂ってしまうなどとは知らず
これから想像を超える事態が 私を待ち受けているなどと露にも思わず
私は安心してすぐに眠りに落ちた。
空はすでに白ばんでいた。
第2話に続く
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