フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第3話

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「財布なんてなかったよ。置いてあったのは携帯電話だけって」


予期せぬ事態に私は一気に青ざめた。

そんな…そんな…ここまで来て…

これじゃ何も解決しないではないか。

呆然としている私を見かねたのか、女性は優しい声になって


「お金、沢山入れてたの?」


「実家からの…仕送りを…ぜんぶ…そのまま…」


ボケっとしたマヌケ顔のままで私は言った。


彼女は欧米人がオーマイゴットというように体をそらせた。


「マジ〜うわー、困ったねえ」


そして身を乗り出して


「どうするの?貯金とかは?」


去年、貯金を貯めてスキーの板やウェアなど一式揃えたため貯金はないに等しい。

ていうか、財布の中にあるカード止めなきゃ。残高ないけど。


「実家は?近いの」


彼女がそう問いかけた時だった。


ーおい、どうかしたのか?ー


男の野太い声がした。






女性の隣に腰を下ろした男を、私は盗み見た。

2人の会話を聞いて分かったのは、どうやら女性の彼氏らしいということ。

正直言ってこんな綺麗な人がこんな男と!?と思ってしまった。

男はゴツい体をしていた。

縦横大きく、目つきが悪かった。

女性と同じ派手な服装をしているがこちらは品に欠片もなかった。

ドカッと座ったかと思うとタバコをくわえ、女性に火をつけさせると

「おーい、ねえちゃん」

とウェイトレスを大声で呼びつけた。


注文が済むと

片方の腕を女性の肩にまわし、もう片方の手で携帯電話いじりながら


「ま、携帯電話だけでも戻ったんだからよかったじゃん」


と私の目を見ずに言い放った。


「んでもさっ、この子手元に全然お金ないんだって。ね、可哀想でしょう!?」


女性はそれまでより少し媚びるような口調になった。


「バーカ。同情したって金は戻らねーんだよッ」


男はそう言ってから初めて私と視線を合わせた。

そしてフーンと言うように薄笑いを浮かべた。


「アンタ、待ち受け画面の顔とちょっと違くねえか?」


私は赤面した。

確か今の待ち受けはタッくんとのツーショット画像だ。

ばっちりメイクで画像も少しだけ修正している。

今の私は寝不足と疲労がスッピン顔に表れているに違いない。

きっと、間違いなくブサイクだ。


ていうか、なんで関係のないこの人が見てんの?!

もしかすると中の保存画像も見られてるのかな。

下着姿とかあったかも、うわ最悪。



私は恥と怒りでこの男の前を今すぐにでも立ち去りたくなった。


「もう〜、アキちゃんたら意地悪なこと言わないであげてよ!」


女性の言葉に落ち込んでいるにもかかわらず笑いそうになった。

アキちゃんだって!?

このイカつくてガサツそうな男が!?


その時女性が言葉を続けた。



「実はね、携帯電話拾ったのは私じゃなくてアキちゃんなのよ」


































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