フツーの女子大生だった私の転落と波乱に満ちた半生の記録 第5話

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前編: フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第4話
後編: フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第6話

もう後には引けない


《これまでのあらすじ》   初めて読まれる方へ

篠田桃子はごく普通の女子大生。ところが財布と携帯を紛失してしまったことから人生が狂い始める。携帯のみ無事戻るが、桃子は拾ったという佐々木昭泰が財布を盗んだのではないかと疑っていた。佐々木とその恋人中西玲子の計らいでお金のない桃子はショーパブで働くことを決める。決めたのは当然お金のためであるが、もう一つはショーに魅了されたからであった…


昔……小学校の頃だ

友達のバレエの発表会に招待してもらったことがある

友達はキレイにメイクして可愛らしい衣装を着ていて見違えるようだった

他のどの子も堂々としていて輝いていた

すっかり魅せられた私は、帰宅して母親に私もバレエを習いたいと必死で訴えた

母親はまともに取り合ってもくれず、首を縦に振ってはくれなかった

私は怒って泣いて駄々をこね、終いにはその場で泣き疲れて寝てしまった

夢の中で女の子たちが華麗に舞っていた

目をさますと部屋はすっかり暗くなっていた

わずかなドアの隙間から漏れる灯りと共に

母のすすり泣く声が聞こえた。

切なくて胸が苦しくなるような悲しい声だった

その日以来、私は華やかなものに憧れるのをやめた



昨夜のショーとあの頃に憧れたバレエの舞台とが重なった

バカだな…と思う。

あんなものに憧れる気持ちが自分の中にまだあったなんて

あんなショーなんて所詮、男の欲望のためでしかないのに

見せかけの美しさなのに

なのに私は、お金のためとはいえ、ショーに魅せられ

中西玲子から失くしたのと同額の8万円を受け取ってしまった。


私は時間通り電車に乗った。

そして6時ぴったりに『パテオ』に着いた。

店は昨夜とはだいぶ印象が違った。

店は真昼間のように明るく、壁紙も床も安っぽい感じがした。

女性たちは寝起きのようなスッピン顔でTシャツにパンツスタイルだった。


ソファでタバコを吸っている玲子に遠慮がちに声をかけると


「やっぱり来てくれたのね」

と微笑んでくれた。


私は玲子の後に続いて黒服たちのボーイたちところに挨拶へ行った。

黒服の中心的存在の佐々木昭泰が私を見てニヤッと笑った。

心なしか他の黒服たちも薄笑いをしているように見えた。

どうせ金に釣られてやってきた貧乏な女とでも思われているんだろう。

みんなの読んで良かった!