就活から逃げてピアノを始めたらド素人が8ヶ月で最難関の英雄ポロネーズが弾けてしまった話(音源あり)
5ヶ月後経過:中盤の左手のオクターブの「タタタタ、タタタタ、タタタタ」の連打とか意味わからんw
ピアノをはじめて5ヶ月が経った。
英雄ポロネーズは曲の中盤で調が変わるんだけど、中間部で左手でオクターブを永遠に連打するところが出てくる。この楽譜はその一部。
左手をひたすら「タタタタ、 タタタタ、 タタタタ」と動かす。これが × 30小節ぐらい続く。一見譜面だけで見ると単純に見えるのだけど、実はここ完全に実力がモロに出る。というか誤魔化せない。
基礎をやってない僕にとってはこういうところが大きな壁だと思った。
「タタタタ、 タタタタ、 タタタタ」と右手を合わせるのが意外に難しい。途中でこんがらがる。基礎を完全にすっ飛ばして力技で英雄ポロネーズに挑んでいるためこんな単純なことができずに、もしかしたら結果的に遠回りをしているのかもしれないと感じた。
けど、いきなり最難関から挑戦すると一度決めたんだから絶対にやる。
僕はこの左手の高速オクターブの連打の部分の練習を毎日することにした。その目的はこの高速オクターブの連打の部分 「弾く」というより、もう体で覚えさせて「慣れ」にしようと考えた。
秋に近づくと 気温が下がり、練習も最初は手が冷えて思うように動かない。ある程度体が温まるまでスムーズに指が動かせない。
なのでこの左手オクターブの連打を1日の最初のウォーミングアップメニューとして取り入れた。そうすると、体も温まるし、 中間部の練習にもなるし、1日の練習のウォーミングアップにもなる。一石三鳥だ。
このやり方で なんとかすっ飛ばした基礎をこれでカバーしたつもりだった。
ただ後から知ったのだけど、この高速オクターブの連打は"基礎"というより、高度なテクニックな要求される箇所だった。
次第に練習中に話かけてくる人が増えてきた
曲が少しずつカタチになってくると、その教室から漏れるピアノの音を聴いてのぞきにくる人が増えてきた。有名曲なので「それショパンのヤツですよね?」言ってくるようになった。
あっ、わかるのか。と思って嬉しかった。
顔見知りがたまたま教室に入ってきて驚かれることもあったし、僕がピアノばっかり弾いて過ごしているのを噂で聞いて、精神系の病気にでもなったのか?と心配してくれた友達が僕の様子を見に来てくれたこともあった。
また、吹奏楽の演奏を専攻している人からこんなことを言われた。
えーーーーーーーーーっ!!いやいや、僕はまだピアノをはじめて6ヶ月の趣味とも言えないレベルで。これにはさすがに驚いたんだけどスカウトしてくれたのは嬉しかった。
そして、
ピアノをはじめて7ヶ月後、
英雄ポロネーズを一通り弾けるようになった。
この曲は最後の最後まで難しかった
英雄ポロネーズの最後の終盤は、最も左手と右手の距離が離れて行く箇所がある。
左手と右手が左右に離れていくと、鍵盤を見る目が1点では視野に入らなくなる。ここが非常に難しかった。
また、この曲は演奏すると7分ぐらいになるんだけど、もともとタッチの強い曲でさらに力強い弾き方をするブーニンの真似をすると、終盤のこの辺で握力がだんだんなくなることもあった。
8ヶ月目には素人ながら人前で暗譜で発表できるまでになった。
たった1度だけ最初で最後の発表会をした。
僕はその後二度とピアノを弾くことはなかった。
最近過去のデータの整理をしていたら、その時の音源がたまたま見つかったのでYouTubeにアップしたらすごく感動してくれた人が何人かいた。
なので今回このストーリーを書いた。
▼よければご視聴ください
[音源]ポロネーズ第6番「英雄」変イ長調|ピアノをはじめて8ヶ月目 (暗譜)
8ヶ月を通してわかった2つのこと
僕がこの経験を通してわかったことは、ド素人が成果を上げるために一番早いのは"模倣"だということ。
僕はブーニンを徹底的に模倣した。模倣というレベルより自分はもうブーニンだと思い込ませてブーニンに成りきって練習した。
もちろん専門家から見たら、人前で聴かせるレベルではないだろう。
ただ、
一般の仕事では完成度の高さより、より早く一定のレベルまで持ってくことの方が重要だ。ならば、徹底的な模倣が短期間での上達の近道だと言える。あらゆるジャンルにおいてそうだ。
僕は今自分でビジネスをして生きているけど、今もこの"徹底的な模倣"が結果に結びついている。
これは間違いない。
そしてもう1つ。
この話は就活を放棄して、ピアノが弾けるようになったというお気楽なハッピーエンドではない。
言ってしまえば何の解決もしていない。
自分でお金を稼げないなら、おとなしく就活をしろ、ということだ。
僕は現実から逃げてしまったのでその代償を後でくらう。この話しは現実逃避したバーチャルな世界の話と言ってもいい。
現実はお金を稼がないとどうにもならいないということだ。さっきも言ったように、僕はこれ以降ピアノなんか弾くことはなかった。今後もやるつもりはない。
なぜなら意味がないからだ。
当時の僕はそう判断していた。
情けないことに 僕はこの後自分で稼ぐこともできず仕方なく就職をするという結末になる。そしてこの後僕に待ち受けていたのは「会社に行きたくなくて月曜日に吐き気がしていた上場企業社員時代の話」という現実だ。
今回はその話は本筋とはそれるので割愛する(ブログで公開中)。
当たり前だけど、得たものもあるけど当然失ったものもあるわけだ。
ただ、この教訓を活かせば、どんなことでも挑戦して目標を決めれば達成できることはわかった。それはこの経験を通しで得た財産だ。
言えることは、この1つの成功体験がその後の僕人生にも影響していることは間違いない。
僕のこの小さな経験が少しでもあなたの挑戦する勇気になれば嬉しいと思う。
長文読んでいただきありがとうございました。
追記
この話を投稿したら1日で100以上のはてなブックマークが付き、著名な方からも多くのコメントをいただきました。ありがとうございます。
またSTORYS.JPの編集部の清瀬さん「編集部のおすすめのSTORY」に選んでいただきまして大変感謝いたします。
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