50年生きてみて その②

15 / 16 ページ

前話: 50年生きてみて ①

膝まで 鮮血が大量に流れていた




よくないことが起こっている ということを察知し
可能な限り流れた血液を拭いて

急いで 産婦人科まで行った


すぐにエコーで 赤ちゃんの状態を確認してもらうと




赤ちゃんは 




心臓の動きを止めていた





"リ ュ ウ ザ ン" 





まさか 自分の身にそれが起こるなど想像もしていなかった

でも それは突然やってきた



どうしようもない悲しみが襲ってくる

手慣れた医師や看護婦さんは その悲しみが少しでも軽減されるように

丁寧にわたしを扱ってくれた

でも


「赤ちゃん死んじゃった」 という言葉は

止まることなく頭の中で回り続けた


全身麻酔で 意識が遠のく
その間に子宮から胎児を掻き出す

なのに カラダに痛みは何もなく

堕胎手術を終えたあとの 

まるで何もなかったような その"普通加減" が
さらに悲しみを増大させた


「赤ちゃんが死んじゃったのに わたしには何の痛みもない」


その 呆気なさが

例えようのない悲しみを生んでいた




都内でも 子どもが育てやすい区として

若い夫婦が多かったその町では

お腹の大きな妊婦さんをよく見かけた


そんな 一瞬チクっとするような痛みを1年ほど味わって

思いがけず また妊娠することが出来た




妊娠全期間を通して

トイレのたびに 出血していないかチェックした



心配症の小心者は
トイレットペーパーを毎回恐る恐る確認してた


長男が ⑦ ⑥ ⑤ で

今度は どんな数字かと思えば

出産予定日は
なんと!


⑩ ⑩ ⑩ と 出た(笑)


もう ヒャッホイ気分だった


その頃は 長男を保育園に預け
チャリで3~40分かけて仕事場に向かう毎日


雨の日も 風の日も 灼熱も極寒も

チャリに乗って

著者の金子 瑞恵さんに人生相談を申込む

著者の金子 瑞恵さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。