バランスの薔薇④「愛のカタチ」
バイブマン事件から半年経ち、季節は12月になり街はクリスマスムードで一色。
輝樹は、変わらずスポーツショップで働いてる。あいつはいつも仕事が続かない男なのに、よく続いてるなーなんて話をGメンともしていた時、
輝樹が僕に
「ちょっと大事な話がしたいから、今夜25時にいつものデニーズに来てくれない?」
とテンションが低めの電話があった。
輝樹もそうだが基本Gメンのみんなはいきなりの連絡が多い。いつもギリギリで生きているからなのか。
約束して通り、僕は真夜中に近所のデニーズに向かった。
すると、そこには輝樹とユカリちゃんの姿があった。そういえばバイブマン強盗をした時からユカリちゃんとは会ってなかったから半年ぶりの再会だった。
夏のファッションのイメージとは変わりニット生地のワンピースに首元にはラビットファーのようなモノを巻いていた。
輝樹は、「マコちゃん、今日俺が奢るから、何でも食えよ」と。
正直、腹なんて減ってなかったからタピオカパールミルクティーを頼んだ。夜中にここで飲むタピオカミルクティーは甘くて、その日の疲れを一気に落としてくれる最高のドリンクだ。
「とりあえず、話って何?」
僕はすぐ聞いた。どーせ仕事辞める話だろって思ってたが、ユカリちゃんも一緒なんておかしい。
すると、輝樹はユカリちゃんと目を合わせてアイコンタクトをとったあとに、
ゆっくりと僕に話してきた
「あのな、マコちゃん。ビックリしずに聞いて欲しいんだけどさ、実は、、、、
俺ら、、、
子供が出来てしまった、、結婚するんだ。
いわゆるおめでた婚ってやつ?
すげーだろ!」
と言ってきた。
「マジかよ!輝樹!そもそもお前たち付き合ってたの?そーゆー関係なの?」
僕はビックリした。Gメン達は基本ワケありメンバーいわゆる社会不適合の集まりだから、結婚なんてしてる人が1人もいなかったのに。その1番最初がよりよって、輝樹とは!!
「ま、そうなんだよ。ユカリちゃん可愛いだろ?ま、とりあえず落ち着いタバコでも吸えよ。」
といい、輝樹はタバコ1本を僕に渡してきた。まさかあんな可愛いユカリちゃんが、輝樹とそういう風になってたなんて考えられなかった。というか考えたくなかった。僕は動揺を隠せなかった。
とりあえず、輝樹から差し出されたタバコに火をつけて吸ってみた。
すると、、、
バチバチバチバチ!!!!
「・・・えっ?!」
僕が吸っているタバコの先端が音を立てて火花が散っている!
「うわっ!?はっ?何これ??」
もうそれは凄い煙と火で意味がわからなかった。
バチバチバチバチ・・・・・!!!
落ち着いて目の前の輝樹と、ユカリちゃんを見ると腹を抱えて笑っていた。
「そーゆーことか。。」
冷静に考えみれば、2週間後は僕の誕生日だった。Gメンには誕生日の1ヶ月前後にはドッキリを仕掛けても良いというルールをスッカリ忘れていた
「マコちゃん!お誕生日おめでとう!!がはははははー」
タバコの中に花火の火薬を詰め込み、
火をつけた事で花火が燃えてたのだ。
もうデニーズの店内はその煙でモクモクで店内さんや、周りのお客さんも心配そうにこっちを見てるではないか。恥ずかしすぎる。
「マコちゃん!ビビった?ちなみに俺が結婚するって話も全てドッキリだからね!がははははー!!」
完全にハメられた。
結婚の話を聞いててドッキリした所で、さらにタバコの中に花火仕込んでドッキリさせるなんて、なかなか手が込んでるではないか。
そんな僕の24歳の誕生日ドッキリだった。
それから3週間後のクリスマスに、
輝樹は、ユカリちゃんに告白して本当に付き合う事になったらしい。
ジェットコースター効果のように、2人で恐怖体験を受けると心臓の鼓動が高まり、恋愛の気持ちと似て相手を好きになるといった効果は、
今回の「タバコ花火」や以前の「バイブマン強盗」の時にもきっと感じたはずだ。
少しながら僕のおかげて、輝樹はユカリちゃんと付き合う事が出来たんだぞ。と少し誇らげに思えた。
Gメンの僕らもユカリちゃんと輝樹の交際に関して、心から嬉しかった
※これは実話元にしたフィクションです。実際の登場人物名、場所は関係ありません。
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