フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第10話

1 / 9 ページ

前編: フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第9話
後編: フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第11話

憎悪と嫉妬

《これまでのあらすじ》初めて読む方へ

普通の大学生だった篠田桃子は借金返済をきっかけにショークラブ『パテオ』で働くことに。徐々に仕事に慣れ指名も取れるようになった桃子の内に少しずつ野心が芽生え始めていた。そんな中、イズミというホステスの指名客、飯島が桃子を指名してくる。戸惑う桃子だが…


夜の世界の暗黙のルールの1つに「人の客を横取りしない」というのがある。


初日、玲子が溜息まじりにフッと笑って言った。

「でもね〜、ここだけの話そんなの上辺だけ。店にとっちゃお客の希望通りにするのが第一だから。でも、それを表向き許すとそれこそ、そこら中で客とホステスの三角関係トラブルだらけになっちゃうでしょ。だから、極力やめておいた方がいいかもね」



それは、この世界に足を踏み入れたばかりの私だって分かる。

自分がやられたくないことは

他人にもしません

そういう話でしょ。


でも…今のこの状況は…


私は離れた席で客にしな垂れかかっているイズミを見た。

客の手を取って手相を見てワザとらしく驚いている。

腹の出たオヤジは、まんざらでもなさそうにヘラヘラ笑っている。



カランという音で私はハッと振り返った。

隣で飯島が自ら氷をグラスに入れていた。


「ゴメンなさい。私やります」


飯島は微笑してウイスキーをグラスに注いでいる。

「いいよ。どうしたの。何か考え事?」


「いえ、あの」


私は俯いてもう一度チラとイズミを見た。


「イズミか、ほら、あんなに愛想振りまいちゃってねえ」


飯島は忌々しそうにウイスキーを喉に流し込む。


「僕は今日杏ちゃんに会いに来たんだよ。だからそんな顔しないで」

みんなの読んで良かった!