フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第16話

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「何〜、お前ヨユ〜だね、ショーだよ!」


「あ、そっか」


私は時計を見た。

そろそろ着替える時間だった。


「あのなあ、今日はお前のデビューだからって

俺、残業すっぽかしてきたんだぞ〜〜。上司に睨まれたぜ、かなり」


「ごめん、エヘヘ。緊張してたらぼーっとしてきて。ありがとうね」


「いいってことよ。俺にとっちゃ仕事より

杏の方がはるかに大事なんだからさ。

クソ上司なんかどーってことねえよ」


私はもう一回エヘヘと笑って見せ

行ってくるねと言って席を立った。



私の衣装の黒いビキニに男性ものの大きな白いワイシャツを羽織った。


舞台にはナンバーワンの美咲を始め


神セブンと呼ばれる超売れっ子たちがスタンバっていた。


私も彼女達のすぐそばでポーズを取っていた。

半年前は雲の上の存在だった彼女達を初めて

間近に見た気がした。


彼女達に清楚な輝きは微塵もなかったが


妖艶な匂い立つようなメスの匂いを放っているようだった。


その存在を感じながら


私は分かったことがあった。


私の育った家庭環境だから分かったことだ。


答えは今の私そのものだ。


お金は人を狂わす。

そして壊す。


尊かった愛も

私をも…



その夜、私は初めて彼女たちと同じ曲を踊った。


踊っている間、私は神セブンのほぼ一員だった。


やっと…

ついに、ここまで辿りついた。


曲の最後で涙ぐみそうになってしまった。


強いライトに思わず瞼を閉じ、そしてまた開く。


客席の指名客が頷きながらウインクしてくる。


周りに俺のオンナだぜとでも言いたげな顔だ。


イイよ…その顔、すごく。


その顔が見られたらコッチはしめたもの。


私は他の客の顔にも視線を流した。

その時…


私の視線は止まり、かわりに大きく目を見開いた。




その男は本当に狡猾でセコくて偽善者だ。


人の弱みに付け込み


毎夜のように私の元へやってきて


その胡散臭い顔で馴れ馴れしかけてくる。

私の落とし穴の1つだった。



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