世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(4)

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前編: 世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(3)
後編: 世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(5)

ヨルダンで大どんでん返し


ホテルの支配人
これは、君のパスポートだ



ホテルの支配人が、ケイシーの赤い日本の表紙のパスポートをこちらに差し出してきました。



ホテルの支配人
君の履歴書も読んだよ。君は旅人なんだってね、君の経歴は旅ばかりだ。ヨルダンも旅の通過点なんだろう?僕たちホテルは、働くなら長い間ここで働く人材を求めているんだ。君もわかるだろう?大切な技術を教えきって、そしてやめられたらこっちの損害なんだよ。





そこまで言って支配人は、能面のような表情を一層こわばらせるようにして続けました。



支配人
だからねえ。君は、日本に帰ったほうがいいんじゃないかい?


だんだんと自分の置かれた状況が現実味を帯びてくるとケイシーの瞳から、ぽろぽろと大粒の涙が出てきました。


そしてなによりも、彼の頭のいい風に流暢な英語をしゃべる雰囲気にふつふつと腹が立ってきました。頭の中を、この三カ月の間来る日も来る日も仕事のできる日を待ちわびたことや、くじけそうな気持ちを支えてきてくれたお友達やアラウィや彼の家族の顔が浮かんでは消えてゆきました。


ケイシーはキッと支配人に向き直ると言いました。



ケイシー
でも、そんな私の経歴を全部知ったうえで私を雇うって決めたのは、このホテルじゃないですか!
支配人
まあ、そうなんだけどね




支配人はいけしゃあしゃあと認めます。隣にいたコンプライアンスの部長が、席を立つとケイシーに向かって歩いてきました。



部長
まあまあ、そう泣かないで
ケイシー
これが取り乱されずにいられる状況ですか?




彼らの態度はケイシーの神経を逆なでするばかりです。

ケイシー
今日は入寮日だって聞いたから、自分の持っている荷物も全部まとめて、皆にお別れをして、彼も仕事を休んでここまで荷物を運ぶのについてきてくれて、たくさんの人に迷惑かけたっていうのに、ここにきて私を雇えない?どこに帰っていいですって?
仕事が終わったら帰って寛ぐことのできる家があるあなたと違って、私には帰る家なんてないんですよ!?


みんなの読んで良かった!