フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第21話
私が内心ほくそ笑んでいると
聖子はガタっと席を立ち苗代を追いかけるように出て行った。
男子学生の1人がそれを見て何か言うと周りが笑った。
バカな子…
勝手に信者やってればいいんだ
私はゼミのノートを開いた。
ふと私の中で何かが変わったのに気がつく。
誰の目も気にならなかった。
私は、彼の被害者であるとともに
これからは彼の支配者でもあるのだ。
そしてその晩
私は迷わずパテオに行った。
いつも通り、スカウトマン達を素通りしながら
雑踏の中を颯爽と歩き
パテオへと続く階段を下って行く。
いつもと違うことがあるとすれば
私の気持ちだった。
私は何か強い力で守られている気がしていた。
入り口に佐々木が立っていた。
いつものように壁にもたれて誰かと携帯電話で話していた。
私に気がつくと、耳から離し
「おう、学校行ったか?」
いつもの調子で聞いたきた。
私が頷くと
「さすがだな、お前。偉いよ」
と言ってまた携帯電話を耳に当てた。
私はそのまま店の中へと歩く。
後ろから佐々木の話す声が聞こえる。
「え?何でもねえよ!お前にはカンケーないの!
んなことより、エリ〜、頼むからさ〜」
不思議だった。
何だろう…これは。
耳障りだと思っていた声が
なぜか今、胸を少し痛めつけてくる。
そのわけは、その夜のうちに
私の中でハッキリとした。
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