介護を現実のものとして考えていく 【その四・担当医面談】
ソーシャルワーカー。この場合、正確には医療ソーシャルワーカーと呼ぶほうが正しいだろう。
患者が退院後も地域において、あるいは家庭においてどれだけ自立生活することができるか、そのために患者だけでなく周りの家族や関係者がどのようにすべきか。
起こり得る様々な問題点を、当事者と一緒になって考え最善策を見つけ出していく専門家。それが医療ソーシャルワーカーである。
ここで医療ソーシャルワーカーとの間で行われた話に入りたいところなのだが、その前に義父が今後どの方向に進むのが一番よいのか、一番現実的なのかという担当医の見解を踏まえておくことは避けられない。
担当医と面談した際に言われたのは、
そして、病状が今より良くなることは原則として考えにくいので、今できることが今後できなくなることは想定しなければいけません。
現実的な問題で考えていくと、お金の負担とお母さん含む家族のお体の負担のどちらに重きを置くかです。
そして、体の負担を考えた時に一番怖いのは「共倒れ」です。
共倒れ。
それは私たち子供の立場においても一番懸念している問題だ。
老夫婦二人暮らしで介護に疲れて…そんなニュースソースを目にするのが日常茶飯事なご時世。
子供が真っ先にそのことを考えるのは至極当然な話である。
義母にそういった話は常々していたので義母自身もそのことは理解している。少なくとも頭では。
この段階で、私自身を含め施設に関しても色々調べてはいた。
そこでこの面談の際にも私から施設に関する話を切り出した。
その話を聞いた上で担当医はこう続けた。
そうしましたら、こちらの病院に相談員というものがおりますので、私の方から声をかけておきます。
ここで登場する相談員というのがソーシャルワーカーになる。
もちろん患者が家に戻る場合であっても相談は色々とできる。
ただ、義父の現状を踏まえてということになると、施設などに関する相談をしていくというのが現実的な話といってよいだろう。
仮にこのまま家に戻っても、家そのものがところどころ老朽化している。
義父が安全に暮らせるようにするためには、色々直さなければならないところがある。
私はその部分でも心配をしていた。
「今できることがだんだんできなくなる。」
という言葉を聞かされたらなおさらだ。
面談の最後にはこんな話が出た。
でも、実際家に帰られて外来にされた方で、例え1~2ヶ月頑張れたとしても、その後に「やっぱりキツイよ、先生」ということであらためて施設などを探していくというケースが多いのが現実なんです。
例えこの段階で介護を他人の手に委ねたとしても、誰も文句は言わないでしょうし、むしろ「よく頑張りましたよね」と言ってくれるはずです。だから絶対にご自分を責めることはなさらないでください。
客観的な話も交えてくれた担当医の話は非常にありがたかった。
義母も本音はともかくとしてある程度現実を受け入れることはできたはずだ。多分。
ソーシャルワーカーとの面談はこの1週間後に設定された。
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