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16/12/26

1月の1話 友達が出来た

Image by Olia Gozha

 新年、フランスでは三が日という考え方がない。正式な祝日は1日だけで、2日からは普通に出勤日だ。もっとも、クリスマスから年始に掛けてバカンスを取ったりしてる人も多い。

 私は、やっとこさで読み終わった論文を満足気に見て、意気揚々、ボスに報告に行った。

「読み終わりました!」

 ボスは別段待っていた様子もなく、遅いな、と不満に思っていた様子でもなかった。私があんなに苦労したというのに、とてつもなくノーマルな反応だった。

「そう、じゃ、今度流量のデータ渡すね。」

 自分の読むのが遅いせいでペンディングになってるタスクがきっとたくさんあり、それをホイと渡されるのかと思ったので多少拍子抜けた。

 ところで、オフィスに行くと、アジア系の女の子がいた。バンヌという、ブレストからまあまあ近い街にある大学の修士課程の2年生らしい。これから6ヶ月のインターンシップが、卒業に必要な最後の単位なのだそうだ。こんなふうに、この研究所では、研究者の養成、教育にも力を入れていて、学生のインターンなど積極的に受け入れていて、いつでも2~5人くらいの修士以下の学生が出入りしていた。

 彼女の名前はシャオミンといった。中国人だ。彼女は最初に私を見たとき、すごくデキル人だと思ったらしい。背筋を伸ばしてデスクに座り、パソコンに向かってなにやらカタカタ……。きっとフランス語もペラペラで、優秀なのだろうとビビったそうだ(笑)。 とんでもない、そんなふりをしていただけである。(と、後で彼女に言ったらめちゃめちゃ笑っていた(笑)。)

 この頃には私も、自分が孤独を感じているな、と自覚し始めていたので、私と同じ境遇になっては可哀相だと思い、同じ建物にいる人たちとランチに行くタイミングのときに声を掛けたり、使っていい筆記用具がある場所やプリンタの使い方など、知っていることは気をつけて伝えるようにした。こういうのは、一番最初に誰かがちゃんとやってあげないといけないが、意外と見過ごされがちなのだ。

 シャオミンとはすぐに仲良くなった。初日などは互いに日本語と中国語を教え合った。彼女がよく話す性格の子で、また結構大人な考え方をしていたので、研究そっちのけでお互いの仕事観、結婚観などをよく話し合った。おかげで私の英語力は向上し、シャオミン以外の人とも話しやすくなった。12月までは好んで一人で食べていたランチも、同じ建物の皆と一緒に食べるようになった。英語に自信が無かったことから人と話すこと自体に壁があり、孤独な状態に自らを追い込んでいた12月までの状態から抜け出せたのは、間違いなく彼女のおかげだ。



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