僕が精神科に入院するまでのほんとうのこと~入院顛末記~(2)

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著者: くぅも晴れるや

精神科病棟入院までのはなし

宝くじが当たっているという幻聴は

宝くじが当たっているという妄想をひきおこした。

近くに元妻が住んでいた。

そしておいらは元妻のところに走った。

元妻の隣の住人は最近意味不明な亡くなり方をしていた。

そして死神のついた青年と元妻の隣人の死。

死神が元妻の部屋に移動してはいけないと思った。

そして妄想と化していた宝くじのあたりを知らせようと思った。

それがなんだか死神を遠ざけるのではないかと思った。

元妻の部屋に向かったのが昼だった。

玄関のベルを鳴らして元妻を呼んだ。

宝くじが当たったよ。

元妻が言う。

何等が当たったん?

それはお前が決めたらいい。

妄想の支配下にあるから会話は成立しない。

おいらは今度は声色を使って同じことを言った。

元妻はもういいからといって扉を開けようとした。

するとおいらは扉を開けないように言った。

同じ会話を繰り返しいろんな声で言った。

この会話は夜まで続いていたみたいで

おいらには最初の一回目の記憶しかない。

完全に狂ってしまっていた。


自分の部屋にもどりちょこんと座った。

ちょこんと座ったおいらの横に気配を感じた。

そして、その気配がおいらに話しかけてくるのだ。

はぁ~、人の願いは大変だ。わたしは悩んでいるんだよ。

おいらは自分にできることがあれば助けましょうかと

こころのなかで唱えた。

すると座った状態から体が

急に自由がきかなくなり

知的障害の子供が座りながら

ぐるぐる回るように

おいらの体が座りながらぐるぐる回り始めた

な、何や?

幻聴が言う

人間はすぐそう

ほらあかんやろう?

その声を聞いたのに答えず言う

えっ?どうすればいいんや

幻聴がまた言う

リピートやな

これは繰り返さんといかんな

おいらは体の自由を奪われ

ぐるぐる回るのに気分が悪くなりつぶやいた

くそっ

幻聴が言う

またや、人間はすぐそうなる

助けてくれるんとちゃうんかい

ぐるぐるが止まらないこの現象に思った

どうやったらいいんや

アカンこれ延々つづくんか?

幻聴がまた言う

おまえは誰かを助けたいんとちゃうんか?

何かしてやりたいんとちゃうんか?

ぐるぐる回るのがとまらないのだ

意識が薄れていくような感じがする

幻聴が言う

お前の救いたいのは誰や

おいらは頭の中で考えた

アカンぐるぐるがとまれへん

彼女は大丈夫や

元妻が危険やねん

隣の部屋に死神がでとる

幻聴が言う

ほんまにそうなんか!

おいらは次の瞬間

自分で自分の頭を床に打ちつけ始めた

何度も何度も床に打ち付けた

助けなあかんねん

助けなあかんねん

何度も床に頭を打ち付けた

繰り返し何度も打ち付けて

わけのわからない存在が消えた

そして意識が薄らいできたなか

頭を打ち付けることがとまり

そして意識が真っ白になり

これが悟りなのかというような

心の平安というか

ひとつになったような静かな

心の状態を向かえ体が硬直する

あまりにも平安なその心境に

おいらは思わずこう思った

孔子が

今日知ったら明日死んでもいいといったのは

このことなのだろうか

悟りがおきたのだった

その瞬間だ

死神が自分に襲い掛かってきたのだ

死んでもいいんやな!

お前は死んでもいいんやな!

平安な時間は急に消えて

死神が襲い掛かってき始めたのだ






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僕が精神科に入院するまでのほんとうのこと~入院顛末記~(3)