家族のコミュニケーション-その9  たたかれる夫

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さて今回は立場が逆転して、暴力を振るう女性、叩かれる夫に注目します。

 

暴力を振るう女性?

妻を殴る夫について聞くのは珍しくありませんが,

妻にたたかれる夫は多いと思われますか。

暴力に訴えて,家庭内暴力の問題を大きくしている妻は大勢いるのでしょうか。

その通りなのです。

 

社会学者のスーザン・ステインメッツはこう語っています。

「報道されることの一番少ない犯罪は妻を殴ることではない。

それは夫を殴ることである。……

平手打ちをしたり,たたいたり,押したりするなど,

ちょっとした実力行使をするという段になると,

男女間の実質的な相異はないようである。

 

たたかれる妻という現象の見られるのは,男性のほうが攻撃的だからではなく,

ただ男性のほうが身体的にもっと力があるようであり,

より大きな害を加えることができるからである」。

 

夫がたたかれたという話をあまり耳にしない理由はここにあります。

警察署へ行って(あるいは電話をかけ),がっちりした巡査部長に,

「家内に殴られた」などと口に出せる夫はどれほどいるでしょうか。

しかし,多くの妻たちはまさにそうした暴力を振るっているのです。

夫は妻よりも小柄だったり,年を取っていたり,虚弱だったり,

病気でさえあったりするかもしれません。

 

また,たとえ自分を守るだけの力があったとしても,

騎士道精神から,あるいは本気になってしまうと妻を

ひどく傷付けかねないという恐れから,自分を守ろうとしないのかもしれません。

 

夫の暴力を声高に非難する妻の中には,自分の落ち度を見過ごしている人もいます。

例えば,妻は夫が夫婦名儀の口座ではなく,夫名儀の口座に入金したことを知ります。

 

その結果生じた言い争いの際に,妻は夫を平手打ちにします。

数週間後,夫をののしったり,性関係を拒んだりして,

今度は妻のほうが悪いように思え,夫は怒りにまかせて妻を殴ります。

 

確かに,体にあざが残っているのは妻のほうかもしれません。

しかし,双方とも暴力を振るったという罪があるのではありませんか。

妻の暴力は,爆発を引き起こす火花のようなものとなることがあります。

 

自分よりも力のある夫が,自分を虐待した場合,

妻はどのような反応を示すでしょうか。

多くの場合に,深なべ,花びん,ナイフ,あるいはアイスピックなど,

手近にある武器をつかんで,それを使いますが,それは悲劇的なことです。

 

身長157㌢,体重50㌔のロクサン・ゲイの身に起きた事を考えてみましょう。

1977年の新聞各紙によると,この婦人は夫が自分を荒々しくたたくと言っては,

幾度も警察に電話を掛けました。

その夫は,フィラデルフィア・イーグルズというフットボールのチームの

守備側エンドを務める,身長195㌢,体重120㌔のブレンダ・ゲイでした。

とうとう,けんかの最中に,この小柄な妻はナイフをつかみ,

夫の首筋を刺してしまいました。

警察はその夫が血の海の中で死んでいるのを見付けました。

 

何ができるか

たたかれる妻やたたかれる夫という問題の

背後にある幾つかの点を今まで考慮してきました。

 

不和の根源は人間の不完全さにあり,

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