⑤幼き日の傷が残したもの…

前編: ⑥幼き日の傷が残したもの…
後編: ④幼き日の傷が残したもの…

私の父は、母ひとり子ひとりで育った。


祖父はかなりの遊び人だったようで、四人目の年若い妻の元で亡くなった…


私の祖母、つまり父の母親は二番目の妻だった…

気性の激しい人で祖父と別れてから、長唄や三味線の師匠をしながら、女手ひとつ父を育てあげた…。


そして私も、母が亡くなり父が再婚するまで、この祖母に面倒をみて貰っていたのだが、日中お弟子さんのお稽古で私を見れない祖母は、私を柱にくくりつけお稽古をし、私は日がな柱に縛られたまま、泣き叫んでいたそうだ。


可哀想に思ったお弟子ん達が置いて行く菓子に囲まれ、私は子供地蔵のようだったらしい(笑)


父は無口で大人しく、なんでも母親の言う事をきき、母親が決めるがままに人生を歩んだ。


従順で成績も優秀だった父を、祖母は自分の恋人のように溺愛し、支配したらしい…。


そんな一度として、母親に逆らった事などなかった父が、生まれて初めて母親に逆らった…。


私の母との結婚だった。

反対する祖母に頑として譲らず、渋々許すしかなかった祖母だったそうだ…。


しかしそうまでして、一緒になった私の母は、結婚わずか数年、私が2歳になった時白血病で、あっという間にこの世を去った…


私は母の顔を知らない…

母の写真は、義母が全て燃やしてしまっていた。

母方親族とは色々あって、全く絶縁状態になっていた。


高校の頃、珍しく父と二人きりになった時、お母さんってどんな顔してたの?と私は尋ねた…

父は私の顔をジッと見ると『鏡をみればいいさ…そんな顔だ…』

と言うと見たことのない顔で微笑んだ…。


父はもしかしたら、母が亡くなった時に、自分も心の半分は死んでしまったのかも知れない…


自分から話を滅多にせず、どんな場面でも喜怒哀楽はあまりなかった…。

昔の写真を見ると、かなり整った顔立ちだった父に、お見合いで一目惚れして結婚した義母は初婚だった…


だが、祖母と恋人のように部屋に籠ってしまう父に…祖母が亡くなっても、前の妻を引きずっているかのような父に、寂しい想いを…

孤独な心が、前妻に瓜二つになっていく私に、いいようのない憎しみを募らせていたのでは…

今となって、そんな義母の心模様を想像出来るが、幼い頃の私は、母の残酷な仕打ちの理由など知るよしもなかった…。


やがて、中学2年になった頃、私は母に反旗を翻した…


元々おとなしく、縮こまるよ~な可愛いタマでは…なかったのだ…(笑)


続く…


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④幼き日の傷が残したもの…

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