ひとりぼっちの夜 田舎編 ~ひでお物語~
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遠い記憶をさかのぼって書き綴る~ひでお自分史~ 遠い記憶の思い出は思い出の中にしかない。いまその場所は思い出の場所ではない
ひでおには兄弟が4人いて 長男のひでおはなにかとがまんを強いられてきた気がする
下の子が生まれるときは上のもんはなにかとあとまわしにされるのだろうが、それが手にかかるようになるとその家から少しの間遠ざけられる
山口県の小野田市に父方の実家があり、お盆とか正月とか電車で帰省してた。その当時はほんとに田舎で電車にゆられて帰って駅をおりてバスに乗って家につくと、その周りには田圃と板塀と土埃と水たまりとぽっとん便所と五右衛門風呂があった。アスファルトの道は幹線道だけで遠くで1両だけの電車が走ってた。
ある日その実家にひとりだけ預けられることになった
いつごろだったかな。学校がないときだからきっと夏休みだろう。
ながいながい夏休みをその田舎で過ごすことになった。
そのときの記憶・・・・・
実家の家を出ると土のみちをとぼとぼあるくと 集落の出口に駄菓子屋があった。そこは子供たちにとってはとても楽しいお店で、よく行った。板塀にかこまれた華奢なたてもの。
そこから歩いてすこしいくと両側に黄金色の稲穂をたたえたあぜ道にでる。そのあぜ道をばあちゃんととぼとぼあるいて、ばあちゃんは乳母車をおしながら歩いて15分くらいのスーパーに買い物にいく。そこのあぜ道を通るときの稲穂のにおいはいまでも忘れない。
それくらいの記憶しかない
夜、ひとりがさみしくて、ばあちゃんのふとんに入った。
ばあちゃんのみそしるがすごく好きだった。ばあちゃん以外でそのみそしるがつくれる人に出会ったことはない。
その後ずいぶん経ってから、その実家があったとこに行ってみた。
その時の集落はすっかりなくなっていたけど、その時からあったのかもしれない板塀だけが少し残ってた。道路はぜんぶアスファルトに変わってた。
駄菓子屋もまだ実家があるころに閉めてしまったことを聞いてたけど、建物はあるわけなく、あのなつかしいたんぼのあぜ道も田圃ごとなくなっていた。GoogleMAPでみてすでにわかってたことだったけど。
思い出はあっけなく記憶の中にしかなくなってしまうのだな
なにがいいのかはわからないけど
思い出すとなにか心地よい気分になる。 いまでも・・・
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