草枕から読み取れる集団コミュニケーションの難しさ








「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」

(引用:夏目漱石草枕-青空文庫http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/776_14941.html

 これは、夏目漱石の草枕の冒頭部分にあたる。夏目漱石がなぜ、人の世は住みにくいと述べたのかというと、前述した三つの文の意味が社会ではよくあることだからである。

 まず、「智に働けば角が立つ。」という文章だが、この文章の意味は「知性や理屈で通そうとすると摩擦が生じる」ということである。ただ自分の知恵や意見だけを貫いてしまったら、他人との間に亀裂が生じてしまう。

 そして、次の文章は、「情に棹させば流される。」という文章である。これは、「流れに乗ろうとすると、思いがけず流される。」と解釈できる。つまり、自分は何も言わずに、周りの空気や、意見に任せて、ただその場の流れに身を任せてしまうと、自分が望んでもいない予想外な展開に流れてしまう、ということではないだろうか。

 三つめの文章は「意地を通せば窮屈だ。」という文だが、これは「やりたいという意思だけでは通らない。」ということだ。自分のやりたいことがあっても、それだけを通せることはできない。また、思っているだけでは何も変わらない。しかし、行動に移しても、その思っていることを社会が全て受け止めてくれるわけでもない。

 このように、この文章は現代の人の世は窮屈で困難であるということを映し出してくれる。それと同時に、集団コミュニケーションの難しさや、厄介さ、もどかしさも教えてくれるであろう。

筆者は集団コミュニケーションが上手くいかない瞬間は何度も目の当たりにしたことがある。そういう時すべてが、草枕が記した状況と一致しているのである。

筆者は高校生の時に、バスケットボールの同好会の部長を務めたことがあるのだが、よく部会の時に混沌状態になることが多くあり、そのたびに筆者が静まるようにと注意した覚えがある。

その他にも部員達の声を聞くために質問時間も受け付けるのだが、要望を毎回了解してしまうと、部員通りの同好会になってしまうので、了解できない要望も数多くあった。また、質問を全く投げかけてこない部員もいた。そのような部員には、ささいなことでもいいので質問するようにと注意した。

筆者はこのような体験から、確かに集団コミュニケーションは草枕の冒頭部分のような窮屈で困難な時が多数あるのが集団コミュニケーションの要点なのだろうと考える。

参考文献

夏目漱石(1999)「草枕」青空文庫


ULR: http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/776_14941.html


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