最愛のビッチな妻が死んだ 第7章

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交際8日目 2月25日

午前0時を過ぎたころ、あげはからLINEが来た。

「違う違う。電話してた。恋愛感情って大変だ」

電話したかったのにスタンプを送ってしまい、自問自答するあげは。恋愛はいろいろと難しい。

僕は来るべき確定申告に向けて、自宅で仕分けに追われていた。

「確定申告、領収書仕分け中」

「来年は手伝ってニタニタするよ」

「今年もお願いしますw」

「いーよー。慣れてる」

「仕分けしたのを電卓で足してくれた大助かり」

「どうせなら仕分けをしたかったっ! 数学どころか算数も危ういあげですが、頑張る。そして大好き」

「とっとくかなw」

「仕分けが唯一無二の趣味です! ってワケじゃないからww でも伊達メガネ持っていって形から入ろうかな」

「グラサン貸すわ」

「ティアドロップでよろしく」

「あったかな~」

僕たちはいつも形から入る。そして、形以上に楽しんじゃう2人である。

あげはから画像が送られてくる。

「ageHaのサングラスが枕元に落ちてた」

「似合う」

「枕元はサングラスの宝庫」

「誕生日のヤツだね」

続々と送られてくるグラサンを付けたあげはの画像。

「まさか……誕生日の数だけあるわけじゃないよね」

「誕生日じゃないのにみんなよくくれる。いや、ピンクのしか受け取らなかったから、(歳と同じ)30はない」「青いのは突き返した」「あと溜まってくから配り歩いてる」

「まだまだあるわけ?w」

「ちゃんと普通のもあるよ!」

謎のグラサン動画がきた。

「音楽と合ってるし、似合ってるけどw」

「今夜はあげがおらんし寂しかろうと、LINEの普段使わない機能を駆使」

「ありがと」

「オカズにどうぞ」

「わかった」

「彼女のエロくない画像でオナニーシリーズ」

「シリーズ!? 続くのか……」

「え、うん。不定期連載」

僕たちの一致する趣味は音楽や服以外にもある。ランニング。1人で好きな音楽を聴きながら、何も考えず人のいない道を走るのが好きだった。夜中、方向音痴な僕は迷子になることが多く、往復20キロ走らざるを得なくなり、膝がぶっ壊れたこともある。

「いかんいかん、明日は朝から走ろうと」

「同じく。今走ろうかなーー」

「気を付けて」

「いや、朝日に慣れるために朝走ろう。夜一人は怖いし」

「危ないから明るい時にしなさい」

「はーい、恋人」

「素直なあげちゃん」

「はー、何作ろうかな。ニヤニヤ想像しながら眠ろう」

「ゆっくり身体休めて」

「あげにもオカズちょーだい」

「眠そう」

「あら。マジメにくると思わなかった。今日は逢えない時間が愛を育む事もあるのだと知れた一日。おやすみ大切な恋人よ」

「おやすみ。また明日」

あげはは重度の不眠症だった。眠剤2種と安定剤4種飲んでも眠れない、眠り方を忘れた今の僕よりも何倍もキツいと思う。

「不眠がやってきた。ベゲタミンAを飲んで昏睡する!」「明日の予定は大体狂う宣言しとく」「安住の地が日暮里から沼袋にシフトしたようだ」

「眠くなるまで繋がってよう」

「眠れる音楽聴くよ。猫と、横に共輔がいる気持ちで睡眠に持っていく。たまに寝る方法忘れちゃうんだ」

「忘れたら、また思い出して新鮮に感じるよ」

「うん。そこに、共輔のそばに行けばよく眠れるんだけどな。おやすみ」

「おやすみ。あげの夢見たいな」

「うなされないように。愛しい、おやすみ」

朝11時、ちゃんと寝れたかな、もう起きたかなと心配して、あげはにLINEをする。そばにいないと不安で仕方がない。

「おはよ」

返信が来たのは16時過ぎだった。

「おはよ。薬が残って気持ち悪い。ごめん」

「身体を整えて」

「何もできなかった自己嫌悪」

「まだ今日は8時間もあるよ」

「パルプンテ!」

「……しかし、回り込まれた」

「ケアル!」

「……HPが30回復」

「アイシテル!」

「HPとMPが全快した」

「妄想しながら風呂入って薬抜く」

「居る」

「いる?」

「炒る。ill」「思わず開店資金準備する程美味いカレーのために。確認なんだけど、カレーの香辛料はいける?」

「illカレー」

「wacカレー」

「beefかい?」

僕たちの会話のキャッチボールで、HIPHOP用語の応酬はたまによくある。どうやらあげははカレーを作ってくれるらしい。

「カレースパイスは炒ってから一週間寝かせるのでなんにでも変身するが、ジャークチキンとか、普通のカレーとか、ドライカレーとか、スライムとか」

「スライム……」

「カレー食べれる? 食べれない人に会ったことないけど」

「好きだよ」

「1週間後、カレーパーティネ」

「今から楽しみ」

「世界はそれを湯当たりと呼ぶんだぜ」

様々な粉を混ぜている怪しげな画像が来た。

「調合」

「16種。マタタビに似た効果があるらしく、床がニャンコのヨダレまみれ」「おい彼氏!何時に帰るかわかったら教えて!」

「10時過ぎかな。かなり、ゆっくりきてね」

「はーい」

仕事ってやつは僕にごはんを食べさせてくれるが、それ以外で何にも恋路の味方はしてはくれない。

「じゃ、ご飯は今度作ろうかしら。一回行ってから買い物行って何か作ろうと思ってたから」

「10時過ぎてもよいなら」

「んー、なんかよくわかんないけど、行きたい時に行く! そして帰ってきてから考える!」

「了解。ありがと」

「マーキングして待っている。 イッちゃいそう」

「どしたの? チェック終わったら、向かうけど。あとの仕事は家でやろうかと」

「なんだかんだしてたらこんな時間に。今からおうちにイッちゃいそうの略」

「ちょうどいいタイミングかも」

「ここから一時間かかる」

「どこ経由で行く? 馬場で待ち合わせる?」

「わー。なんか、そうする! 今日のテーマは座薬片手に男の話」

「座薬?」

「うんまぁ、マゾの話だからどうでもいいよ。おウチ出るよ」

忘れがちだが、あげははSMの女王をしていた。

「あげは、くる途中池袋通る?」

「通る」

「そろそろ池袋着くから、待ち合わせて一緒に帰ろ」

「なんか楽しーい。でも全然まだ池袋着かない」

「着く時間と山の手線何両目か教えて」

「23:08の9くらい」

「9くらい?w」

「8だった」

「8両目?」

「そう」

「あげのこと思いつつ」

「あのね……おお、うん」

「ホームにたたずんでるわ」

「共輔のこと思いつつ……駒込のマゾのプレイルームにエゲツないガンコロ(*覚醒剤)あったなーと思ってた」

画像が送られてくる。写真に写ったガスコンロよりも近くに置いてあるモノに注意がいった。注射器とパケに入った白い結晶。

「って、シャブ中かい……」

「マゾには多いもん。ホントに。次だ」

「今来る電車?」

「着く」「つきかけ」「ほぼ着いた」「乗ってくんの?降りんの?」

「乗った」

ハデなあげはを見つけるのはたやすい。一緒に電車でおウチに帰って、一緒にお風呂に入り、SEXをして、一緒に絶頂に達し、手を繋いで寝た。

僕たちはこんな毎日しか送っていない。日常ほのぼの系カップルだ。

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最愛のビッチな妻が死んだ 第8章

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