炎が消えた日

前編: 地図の無い洞窟で宝を見つけた
後編: 破壊と再生

ロサンゼルスから帰って来た僕は、自室で物思いにふけっていた。28歳の頃だ。

あれから、僕は自分の発声を改善した方法をブログやYouTubeで発信をし始めた。

その結果、北は北海道、南は沖縄まで、文字通り「日本全国」から、多くの人が僕の元へと訪れてくれた。 

もちろん皆、声に悩みを持った人達だ。 

そして今、僕はロサンゼルスでボイストレーニングの勉強を終えて帰国したのだ。 

売れないへなちょこボーカリストが、まさかこんな事になるなんて。だれも想像すらしなかった事だろう。 

 しかもさっき、人気ロックバンドを何組も受け持つ事務所から連絡を頂いたのだ。これはさすがに驚いた。

僕は、プロアーティストのレッスンを受け持つことになったのだ。

誰もが順調だと思った活動。しかし、順調な流れもいつまでも続く事はなかった。 


帰国から数ヵ月後のことだ。



「先生!ちょっとこれ見て!」

レッスン中、生徒さんが僕にスマホの画面をおもむろに見せてきた。 


「中平亮 詐欺」

「レッスンレポート」

「バーで飲んでる所を発見」


なんだこれ……

某掲示板に、僕の悪口が沢山書かれていたのだ。

しかもだ、書き込まれた日時、そして書かれている内容から、書き込み主は割り出されてきた。

おかしいと思っていたのだ。ここ最近、妙にボイストレーニング業界に詳しい人がレッスンを受けに来ていたのは……そういう事だったのか。

散々な言われよう。だが、僕からもはっきりと言わせて頂く。


「詐欺はお前らだ」 

 

 僕は、この日を境に、まるで心の炎が消えてしまったかのような喪失感で、全身を覆うことになる。 

 こんなにも自分が弱いと思わなかった。自分は、どんな事があっても気にせず強く生きていける、そう思っていた。 

でも何故だ。人に会うのが怖い。

もしかしたら、あの生徒さんもスパイ?何かしらの粗探しをしてくるかもしれない。 

こうなって来るともうダメだ。ブログの更新をするのも怖くなる。すると、新規のお客様は来なくなるんだ。 

このままじゃいけない。解っていても、身体は動かない。思っている以上に、心は深く傷ついているようだ。 

果たして、僕は再び、立ち上がれるのだろうか。


 



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破壊と再生

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