インドの山奥で修行してきた話-3 【クアラルンプール→マドラス】

前編: インドの山奥で修行してきた話-2 【成田→クアラルンプール】
後編: インドの山奥で修行してきた話-4 【無事に到着はしたものの】

1997年10月24日 PM10:30 クアラルンプール発
成田を出発してから12時間後。やっと。。。という気持ちは全く無くあわよくばこのままマレーシアで失踪してしまいたい程であった。
というか、機内に入った途端に独特の香辛料の匂いが立ち込めていて「とうとうインドか。。。」という実感が押し寄せて胃がキューーーっとなった。
機体の小ささと狭さも私の気持ちを暗くさせ、心細い気持ちがより一層強くなった。
機内を見渡すと辺り一面褐色の肌に幾多もの目玉がギョロギョロと白く輝く見慣れぬ群像。
前回は5人チームだったのでこの機内の状況はあまり気にならなかったが、一人だとホントに。。。。



席に着き、緊張をほぐすため早速隣のインド人に語りかける。
が、この隣のインド人、私の比じゃないくらい超緊張中。飛行機に慣れていないらしい。離陸寸前になってもシートベルトを付けられずプチパニック状態。離陸後もカッと目を見開き、背筋を伸ばしたままで硬直。話す余裕もないようだ。




離陸後間もなく軽食が配られた。食パンにカレー味の何かを挟んだもの。隣のインド人は相変わらず狼狽えている。
狼狽えるあまり、ほとんど食わずに座席脇にパンを丸ごと落す始末。
しばらく後席を立つ隣人。トイレかな?と思っていたがその後一向に戻って来ない。
座席に残されたパンの残骸のお陰でカレー臭い。
そしてそのまま隣のインド人は戻って来ることはなかった。
慣れない飛行機で隣にやたら話しかけてくる日本人という状況に耐えられなくなったものと思われる。

するとどこか近くの席のインド人Aが席を立って英語で話しかけてきた。
君はもしかして日本人かい?僕は昔日本で働いてた時があったんだよ。日本は良いところだよね〜。日本人は皆とても親切だ。
って感じで馴れ馴れしく。そしておもむろに誰もいなくなった隣席にどかっと腰を下ろして本格的に居座るつもりの模様。
まぁ私も暇してたんで良いけど。。。。挨拶もそこそこに親切な日本人である私は教えてあげた。
「ところでお尻の下にカレーパン踏んづけてますよ。」と
飛び上がってカレーがべっとり付いたズボンを見て大騒ぎする
インド人A。
CAを呼んでなんか怒ってる。「僕の大事な日本の友達に不快な思いをさせやがって」みたいな事言ってたけど私をダシに使わないで。。。

まぁそんなこんなで
インド人Aと話し込む。普通一人でマドラスに降り立つ日本人なんて居ないだろ?何の為に?って事で旅の事情を説明した。
そして空港に到着してから現地ガイドも居ないどころかホテルすら決まって居ないことにかなり衝撃を受けたようで「マドラスの治安の悪さナメんな!」と酷く怒られた。
「よし!!俺が何とかしてやる!!」と席を立ち上がると何かを大声で叫びながら通路を徘徊し始めた。
なんだなんだ???なんか大変な事が起きてないか??? と彼の後ろ姿を目で追っていると誰かが立ち上がり二人で話し始めた。
そしてそのインド人Bを伴って帰ってきたインド人A。二人共目がギラギラさせ近づいてきて何とも言いようのない威圧感。
「ワタシ ニホンノ チバデ ハタライテマス ニホンゴデキマス アナタ タスケタイ」


インド人BはAに比べてスマートで身なりが良い。一瞬新手の詐欺かとも思ったが話を聞く限りまともな人そう。
誰もが知ってる日本の大手電機メーカーでSEをしてるとのこと。今思うと当時からその業界におけるインドの頭脳は世界に進出してたんだねぇ。
今回は休暇で半年ぶりに家族と会うという。空港にはまだ小さな子供達含め家族全員で迎えに来てるとのこと。なんとも泣ける話。
「良かったらうちに泊まるか?」と言って頂いたが、そんな家族愛のシーンに紛れ込むような野暮はしたくない。
まぁそんなこんな英語・日本語・ヒンドゥー語が交錯する会話をしているうち飛行機は着陸態勢に入り
「一切心配するな。俺達に任せとけ!」とそれぞれ席に戻る。とても心強い。

1997年10月25日 
AM02:00 マドラス空港着

飛行機を降りるなりムワッとした空気。そして驚くほどボロボロな空港施設にとうとうインドに着いたことを実感する。
例えばトイレの大便器に扉が無いんだから。大便しようと便器前でマゴマゴしてたらデッカイ板持った兄ちゃんが近づいてきて「俺がこれ持っててやる。終わったらノックしろ。」と。これで南インド一番の国際空港ですからねー。ちなみに扉代金5ルピーでした。

その後は「地球の歩き方」のマニュアルに従ってイミグレを通過。30分掛かった。
手荷物を受け取り外にでると例のインド人AとBそしてその家族たちが私を待っていてくれた。




私が出てくるまでの間にタクシー捕まえて泊まるホテルを指示し、ホテルまでのタクシー代まで交渉してくれていた。
親切なインド人達に丁寧に礼を言いタクシーに乗り込む。
別れ際、インド人Aが名刺を渡して「俺のオフィスの電話番号だ。何か困った事があったらここに電話しろ」と。
深夜に到着してどうなることかと心配していたが、なんとかなるもんだ。
異国で人の暖かさに触れ、タクシーに乗り込み深夜のマドラスの風景を眺めつつシミジミつぶやいた

しっかし相変わらず汚ったなくてカオスなところやなーーー!! あーーーやだやだ!!! 帰りてーー!!

そんな事ばかり考えつつ、タクシーは
激しくクラクションを掻き鳴らしながら走るのであった。

(つづく)


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インドの山奥で修行してきた話-4 【無事に到着はしたものの】

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