インドの山奥で修行してきた話-12 【インディ・ジョーンズみたいな事もしてたよ】

前話: インドの山奥で修行してきた話-11 【インドの山奥で民家に不法侵入開始】
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この2回目の旅では民家や街区割の調査が主目的であった為、アポなし突撃スタイルでの調査を敢行した。
この旅から遡ること2年前の第1回調査では同村の核である寺院の図面化→設計単位分析。
調査対象が対象だったので、ちゃんと調査研究ビザとか現地遺跡管理機関からの紹介状を用意して真っ当に調査。
オフィシャルだった分、遠慮無く寺を隅から隅まで実測できたのは良かったが、それはそれで過酷なシーンもあった訳でして。

まずは高所での調査。
命綱も何もなしで高さ20m程の石山をよじ登り実測したのは今思い出してもゾッとする。

A2サイズの画板に記録紙を貼り付けて背中に背負い、ポッケにはスケールとペン。
足場も殆ど無いところを上下に左右に移動し、片手で石像を掴み片手で実測。くるりと体を反転させて足場と背中で体を支えて画板に記録。
下は石畳。高さは5階建てのビルくらい。バランス崩して落ちたら多分死ぬ。ガタガタ震えながら必死に記録取りましたわ〜。
無事に必要な採寸して地上に降りた時、今まで作業してた高さを見上げてボロボロ泣いたなぁ。安堵して。
ちなみに私、高所恐怖症です。現場の足場でも3階以上の高さで生まれたての仔牛みたいになってます。



あと開かずの間での調査。
寺内部最奥には基本人が入っちゃいけない部屋があって寺を管理してるおっちゃんも開けたこと無いって言ってたほど。
そこに調査名目で特別に入れてもらった時のこと。その扉に至るまでの間で既に嫌な予感はしていた。
奥に行くに従って光も入らずめっちゃジメジメヌルヌルしてる。
扉の前で既に悪寒MAXな感じだったが扉を開けた途端更なる恐怖に見舞われる。
バタバタバタバタ!!!!と無数のコウモリがこちらの懐中電灯目掛けて入り口から飛び出し、それが体に当たりまくり。


気を取り直し部屋の足元を照らすとそこには無数のゴキブリ。壁にも床にもゴキブリだらけ。それらが久々の明かりにびっくりして暴れまくり。
でね、寺院は神聖な場所だから土足厳禁な訳ですよ。当然私も裸足でそのゴキブリの上を歩かないといけないわけでして。。。。
さらに歩くだけではなく這いつくばって採寸しないといけないというね。体中ゴキブリが這いまわる中での作業、あれ長時間やったら発狂するレベル
あー、思い出してこれ書いてるだけで鳥肌が。。。。。




それからジャングルでの調査。
数百年前の建築書記述から「おそらくこの本堂から◯百m南の所に巨大な石門があったはずだから、どっかに基礎でも残ってないか調べよう」と言うことで今では原野になってるところをかき分けかき分け。。。。
で、自分の身長と同じくらいの草木を掻き分けたら突然現れた野生の豚とバシッと目が合ったりしてね。
野生の豚に突然至近距離で威嚇された時の恐怖と言ったらね。。。
野生豚ってマジ汚くてデカくて怖い。

その時はお互い牽制して見つめ合ってたら遠くから「ガサガサガサガサっ!!」と集団が駆け寄ってくる音がして豚が真横をダッシュ。
しばらく唖然としてたら上半身裸で斧を手にしたインド人の集団が豚を追いかけていった。
野生豚との遭遇ってのはこの時だけだったけど、よくあったのが
草木を掻き分けたら排便中のインド人とバシッと目が合っちゃうパターン。
この村には便所ってもんがないからそういうシーンは日常茶飯事。向こうも平気で「はーい!なんかくれ」とうんこしながら手を差し出してきたりね。



最後にこの寺の坊主。
どうやらゲイっぽい。しかも私、惚れられたっぽい。
毎日寺に着くなり半裸で駆け寄ってきて抱きついてくるわ調査中も暇さえあればつきまとって来るわでもう大変
ある時など物陰から「イワーーノ!!!」と手招きしてきてその物陰に行ってみたら突然腰布を紐解いて股間見せてきたりね。


大体いつも上半身裸で腰布一枚って出で立ちだったもんで腰布取ったら全裸ですよ。
「アホwww」って直ぐに立ち去ったらフリチンで笑いながら追っかけてきたりですね〜。この寺の将来大丈夫か?って思いましたよ。
まぁそんな感じだったんで私も私で彼の好意を利用して普通の人は立ち入れない所を実測させてもらったりしてたんですけどね。
調査期間中だけの辛抱だってことでね。
女を武器に客から金貢がせて用がなくなったらポイ捨てするキャバ嬢の気分を少しだけ味あわせて頂きました。

まぁその他にも40度近い気温且つ石畳の照り返しでみんな熱中症でバタバタ倒れたり、食中りでみんな高熱にうなされたり、メンバーの一人の耳に微生物が入り込んで手術になったり、って苦労もあったんですが何故か私だけはずっと健康だったんでその辺りのありがちな苦労話は割愛します。

(つづく)


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