580円の代償

前編: 営業いろいろ
後編: ある朝のガソリンスタンド
ある夏の物語。 
事務所から約2km離れた土木事務所まで歩いて行った。
 用事を終えて外に出ると雨がぱらついていた。 
すぐに止むであろうと思い、遅めの昼食も兼ねうどん屋で雨宿り。 

のつもりが、雷雨になってしまった。




 傘がない・・・ つい陽水の歌を口ずさみそうになる。 
 店の軒先で佇む事約10分。 
タクシーに乗るかどうか悩んだがどうしても腕があがらなかった。 
580円がもったいなくて。 
しかもなぜか腹が痛い。 
店に戻って「う○こさせて下さい」と言うことが出来ないシャイな中年。 
道路の向かいにはコンビニが見えている。
 雷雨の中駆け込もうかとも思ったが、びしょぬれの中年が店に入るなり便所に駆け込む姿も哀れに思えて出来なかった。 
それから約20分後、やっと雷雨が過ぎ、腹痛の波も治まったので事務所に向け2kmの道のりを歩き始める。 
道程の中程でまたおそってきた。腹痛の波が。 
しかも先程の雨がうそのように激しい日差しが襲いかかる。


 高校球児が「ほとばしる汗」をきらきらと輝かせているほぼ同時刻に、自分は「にじみでる油汗」をあふれさせていた。 
苦痛に耐えながら歩き、残り約500m。 
経験ある人も多いと思うが、「あともう少し」と気が緩むところからが本当の戦いである。
 「ロバート・デ・ニーロだったらこんなときもきっと平然とした顔をして歩くはずだ」 等と考えながら、デ・ニーロになったつもりで歩き続ける。
 ちなみにこのときイメージしたのはゴッド・ファーザー2の時のデ・ニーロ。
 別に「う○こ」がまんして歩くシーンがあるわけではないがなんとなく・・・ 

なんとか事務所に到着。 

全身汗まみれ。雨に濡れたのと同じくらいに。 
すぐにびしょぬれのTシャツを脱いで便所に駆け込む。



 すると、あら不思議。便座に座ると素っ裸。



 新しい発見であった。 皆さん、便所に行くときは上になにか着ましょう。 
でないと、なんだかとってもはずかしい気分になります。
たとえ自宅だとしても。 
そして、便座で自分に言い聞かせた
「タクシー代580円浮いたから良かったじゃないか・・・」 
 高校球児のほとばしる汗よりも 中年男性の悲哀に満ちた脂汗の方がドラマが詰まっていたあの夏のひとときを私は忘れることはないだろう。

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ある朝のガソリンスタンド

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