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もう一度走る<<14>>

皮膚移植後

皮膚移植した二ヶ所のうち、後ろ足の表側の一ヶ所は皮膚が定着しました。

後ろ足の裏側は関節を挟んでいること、絶対安静でなかったこともあり、定着しませんでした。

手術前に皮膚移植の症例を見せていただきました。

三つの症例は全てラン君と同じような怪我の状態でした。

手術は、三ヶ所全て違う方法でした。

移植先で皮膚が壊死した画像も見ていたので想定内ではありました。

つくづく皮膚移植の難しさを知りました。

ラン君はエイズ検査で陽性ですが、そのことが原因とは考えられないとのことでした。

前足の皮膚を縫合した場所も、踏ん張って負担のかかる場所なので思ったようには回復しませんでした。

でも、希望はあると信じていました。

何よりも救われたのは

ラン君の心の状態が日を重ねる度に明るくなっていたことです。

傷の回復と心が反比例しているとは思えませんでした。

マッサージをしていると、傷の大きな後ろ足で耳を掻く仕草をして驚かされました。

初めてラン君を診察していただいた時

“後ろ足は長い間お腹に引き寄せていたので筋肉が固まって伸ばすことはできないかもしれません”

そう先生に言われていたので

足を着けること

足を動かせることが

少しずつ

ゆっくりでも

回復していると感じました。

毎日投稿しているSNSにはラン君への応援メッセージがたくさん寄せられました。

ラン君はたくさんの人の心を動かしていたようです。



私自身、ラン君からどれほど勇気をもらったかわかりません。



受験勉強中のお子さんが


“ラン君が頑張ってるからボクも勉強頑張るよ!”


と、夜遅くまで一生懸命勉強しているそうです。



ラン君を見ていて動物の医療系の学校に進路を決めた高校生もいます。



毎日神社にお詣りに行ってくださっている方



進んで小さな親切をして、ありがとうの気持ちが巡り巡ってラン君に行くといいなと言ってくださった方



獣医さんはラン君のことを仏様のような子だと言いました。


処置して痛い時もあると思うのに根に持たないいい子だと。


<<15>>に続く

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小さな頃から動物が大好きで、動物と過ごす時間は至福の時と感じています。今まで出逢った動物からたくさんのことを学びました。私を支えてくれた動物のために恩返しをしたい、そんな想いから現在は地道に保護猫活動をしています。

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