【絶望】中国でパスポートをなくした話
【絶望】中国でパスポートをなくした話
鄭州に出張していた帰り道、北京空港で乗り継ぎの為に、飛行機を降りました。
久し振りに階段で飛行機を降りて、バスに乗り込みます。
バスは北京空港の優雅なカーブを描くターミナルに近付き、半地下の様なバスターミナルに到着しました。
前の人に続いてバスを降り、ターミナルの開いたドアを入った時、
「あれ?パスポートを持って無いかも」
慌てて、背中のバックを確認すると、入っている筈のところに有りません。
「シートポケットに入れたままだ!」
もちろんバスは戻ってくれません。
やばい、パスポート忘れるなんてタダでも大変な事なのに、ココは中国だ。帰って来ないかも。
入口横のカウンターに居たお姉さんに、片言の英語で、必死に、機内にパスポートを忘れた事を伝えます。
どうやら通じたらしく、お姉さんはメモ紙に数字を書きました。
「96158」
「何?これ?」
「オットリン」
「??」
「ロストアンドファウンド、オットリン」
しばらく、やりとりした後
「ロストアンドファウンドのホットライン」
って言っている事に気づきました。
「有難う。謝謝」
でも、この時はまだ、航空会社のチャイナエアラインと話をしなきゃいけないと思っています。
仕方ないので、通路を進みます。本来なら、そっちに行く筈の国際線乗り継ぎルートのところにカウンターがあり、スタッフさんがいました。
対応してくれましたが、やはりこの番号に電話しなさい、と言われます。
仕方ないので、壁の電話でかけてみますが、やり方がよくわかりません。
みっちゃんがスタッフのお姉さんに掛け合ってくれて、かけて貰えることになりました。
が、やっぱり繋がりません。
「忙しいみたいだから、カウンターに直接行って」
仕方ないので、荷物受取所の方へ走ります。
実は、荷物を受け取って乗り継ぐのか、荷物はそのまま羽田空港まで運んでくれるのかも、確認がとれていなかったので、鄭州からの荷物カウンターに行きました。
まだ、チャイナエアラインと直接話す必要があると思っています。
荷物は全部出て来たらしく、カウンターが回るのをやめたので、出口に向かいます。
出口に居たお兄さんに、みっちゃんが話しかけます。
「助けてください。パスポートを忘れたので、チャイナエアラインのカウンターに行きたいのです。どっちですか?」
お兄さん、あまり英語が得意では無いらしく、通じません。
「チャイナエアラインカウンター?」
って聞くと、右の方を指しました。
「謝謝」
走ります。でも、チャイナエアラインのカウンターは見当たりません。
チャイナエアラインのマークがついた小さなカウンターに居た女性に話をすると、
「ココはホテルのカウンターなの。チャイナエアラインは上の階よ」
と言われます。ところが、上の階に上がる方法が見つかりません。
視界にあるエレベーターは全部下にしか行きません。
「どこだよ!」
ずっと向こうの方にエスカレーターがありました。またまた、そこまでダッシュ。
みっちゃんがどんどん走って行きます。
やっと上に上がるとみっちゃんがチャイナエアラインの女性スタッフに話をしています。
英語苦手なのに大したものです。
でも、なんて言われているかよくわからないらしくて、バトンタッチ。
「ロストアンドファウンドに行ってください。下の階に有ります」
あれれ。ロストアンドファウンドに行くしか無い様です。エアラインのカウンターでは対応してくれないんですね。
ちょっとガッカリしながら、さっきのエスカレーターで下に降ります。
で、見かけたカウンターで
「ロストアンドファウンドはどこですか?」
と聞くと、お兄さんが
「あっち。Dって書いてあるとこだよ」
って、教えてくれました。又々、走ります。
で、着いてみると、さっき英語が苦手で指指してくれたお兄さんのいる出口。僕らが行った、反対側にロストアンドファウンドがありました。
無駄に大回り。
で、中に入ってカウンターのお姉さんに、紙を見せながら、
「機内にパスポートを忘れた。フライトはコレ。シートはココ」
と言うと、電話を取ってどこかと話し始めました。中国語なので全くわかりません。
お姉さん、こっちを向くと
「今日飛んで来たのね?」
「そうです」
又々、電話と話します。
「今日、この先はフライトあるの?」
「これから東京に飛びます」
「急ぐわね。エアラインのスタッフが持ってくるから、ココでまってて」
と言われます。どうやら、有ったらしいのです。
みっちゃんと喜びます。端っこの方で待ちます。
待っているときはそんなものなのですが、なかなか届きません。
お互いだんだん不安になって来て、
「見つかったって、言ったんだよね」
「うん、多分」
「今から探すって言ったんじゃ無いの?」
「自信無い」
実はカウンターには2人スタッフがいるのですが、そこにエアラインのスタッフがどんどん拾得物を持ってくるので、忙しそうなのです。
改めて聞きにくい雰囲気です。
みっちゃんは次に来たおじさんのビニール袋を覗き込みます。
「あ!あった!」
みっちゃんが指差す先には、見慣れたパスポートバッグが入っています。
お姉さんがそれに気づいて、順番待ちをしていたおじさんを呼びました。
そしてパスポートバッグを取り出し、
「これね?」
と確認します。
「そうです」
お姉さんは他の作業を飛ばして、手続きをしてくれました。
「ココに、名前と生年月日とパスポート番号を書いて」
受け取り票のようなものに記入したら、パスポートバッグが手渡されました。
「謝謝」
お姉さんに精一杯のお礼を言うと、ロストアンドファウンドを出ました。
みっちゃんは外にいたおじさんにも、御礼を言ってました。
失礼な話ですが、正直、中国でパスポートを置き忘れるなんて、完全に盗られると思いました。コレは日本大使館に行かなきゃか、なんて肩を落としていたのですが、ちょっと拍子抜けするくらい、ちゃんと返って来ました。
もちろん、運も良かったのでしょうが、パスポートを盗むなんてリスクを避けるとは、中国も豊かになってるんだなぁ、なんて変なところで感心してしまいました。
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