6.ホームステイ

前話: 5.フィリピンに到着
次話: 7.フィリピンにきて…

よく知らない女の一家とのホームステイ生活が始まった。

私にあてがわれた部屋は玄関付近の小部屋。

きっとメイドなんかがいれば、その部屋で寝泊まりするんだろうと思われるベッドだけが置いてある小さな部屋だった。

部屋の中には窓の様にコンクリがくり抜かれてる部分がある。

人間が入ってこれない様に鉄格子がついている。

だけども網戸や窓はないから、虫を中心とする小動物が自由に出入り出来る。

屋根はあるけど外と変わらない。

むしろ外よりも直射日光や雨風が凌げる分、外から色んなのが中に逃げ込んでくる。

とりあえず部屋にいれば蚊にボコボコにされる。


そんな事は想定内だったので、ムヒを日本で大量購入しておいたけど、常にボコボコにされるので、いつもムヒのニオイを漂わせていた。


いちおう海外に出た経験はちょっとくらいあった。

ハワイ、サイパン、韓国、この3つの国で、言葉以外に困る事なんて無かったのだけど、フィリピンの普通の人(日本から娘がカネ送ってるから、中流以上)の家は、ちょっと想像を超えて困る事がいっぱいあった。

まずトイレ。

シャワーとトイレが合体していて浴槽は無い。

シャワーから出てくるのはお湯じゃなく水。

風呂場は、私が寝かせてもらった部屋と同じ様に窓なんてなく鉄格子だけの穴が空いてるから、カブトムシみたいに大きなゴキブリが何匹かいる。

私は都会っ子だし、アウトドア苦手なタイプだから、蝶々さえ怖かったりする。


ゴキブリが数匹いて触覚でコミュニケーションをとっている様を見た時は、恐ろしくて声も出ない。


シャワーとトイレが合体しているから当然なのかもしれないが、床が濡れていて凄く気持ち悪い。

誰かの小便が便器から外れたのを踏んでいる様な感覚でゾゾーっとする。


便器には便座が無い。

そして水を貯めるタンクも無ければ、流すレバーも無い。

トイレットペーパーも無い。

便器の隣に大きなバケツがあって、そこに水が貯めてあって、桶が浮いている。


一体どうやってウンコをすればいいのか分からない。

トイレの使い方を知りたいが、それを聞くコミュニケーション能力を持ちあわせていない。


便器の上にのってウンコ座りをすれば良いのだろうか?

いや、それでは、間違って足を滑らせたら、ウンコ側に足を落としてしまう…。

便座がない便器に座るにも、便器にケツをつけるのが気持ち悪くてできない。

とりあえずスキーのジャンプの体勢で用を足す。

スクワットの途中で止まっている感覚なので、甘やかしてきた私の太ももはプルプルしている。

桶で水をすくい、ウンコを流す。

また桶で水をすくって、ケツメドを手で洗う。

生まれて初めて、ウンコのついたケツメドを指でこすった。


このウンコの作業は、手短に行わなければならない。

太ももがキツイのはモチロンだけど、トイレにはカギがついていない。

トイレの使い方が正しいのかは知らないけど、この醜態をホームステイしているご家族に見られるのは、すごく恥ずかしいからだ。


ホームステイしている間、シャワーやうんこの時間は午前4時、まだホームステイ先のご家族が寝ている時間に済ませる様にしていた。


続いては食事。

普通のローカルなフィリピン人のご家庭と同じオカズで一緒に頂かせてもらった。

とは言っても、テーブルにみんなで席について、さぁ食べましょう! いただきます♫

という感じにはならない。

料理の作り手が出来たよと声かけても、なかなかテーブルに人が集まらない。

各々が、好き勝手な時にやってきてゴハンを食べていく。


私の勝手な想像では、みんなでテーブルに集まって

温かいスープとパンを感謝しますアーメン

とかやって、みんなでゴハン食べ始めるのかと思ったけど、あまりに想像と違っていた。

ある者は立ったまま食べ、ある者は椅子に片膝たてて食べる。

フィリピンの伝統的な食べ方か知らないけど、素手でメシを食らう。

せめて、手を洗ってから、そうしてほしい。


気になるオカズだけど、フライドチキン1つだけとかだったりする。

日本の唐揚げっぽい感じ(ころもの部分の小麦粉を良く落としてる薄いころも)じゃなく、ケンタッキーフライドチキンみたいなころもがダマになっちゃってもカンケーねぇって感じのサクッとしたやつだ。

日本で唐揚げと言えば、ニンニクやショウガをみじん切りにしたり、すりおろして、それらと酒や醤油を混ぜたタレに漬け込み、下味をつけた肉に小麦粉をはたく感じだけど、フィリピンのは欧米化してるので下味無しでころもに味がついている感じ。

私はころもが嫌いだったりするけど、ころもを取ると味なしの肉になってしまう。


そんなフライドチキン1つをおかずにフィリピン人は大量の白米を食べる。

私はフライドチキンだけではコメが食べれない。

ただ、トイレをあまり使用したく無かったので、トイレに行く回数を減らす為に、メシはあまり食べたくは無かったので丁度いい。


めしの回数はフィリピンは異常に多い。

定番な感じだと朝起きたら、3イン1と呼ばれるミルクやら砂糖が大量に入ったミルクセーキの様なコーヒーを飲みながらパンを食べる。

朝の5時からオープンするパン屋で、売っているパンは安くてウマイ。

日本で焼きたてのパン食べるなんて経験は無かったので、今焼きあがりましたってパンを食べれて、この点は日本より良いなぁと思った。


朝飯を食べて数時間するとメリエンダ(おやつ)の時間だ。

日本の職人の休憩時間と思えば想像しやすい。

ちょうど職人の休憩時間と同じ午前10時頃が午前のメリエンダの時間。

オヤツと言っても、時にスパゲティだったり、ルーガウ(おかゆ)だったり、まぁまぁの重量級が出てきたりする。

2時間後の昼にランチタイムだ。

おかず1品と白飯が基本である。

日本では質素な食事を一汁一菜などと言うけど一汁が無い。

ちょっとした食堂に行って食事をすれば、無料のサバオ(スープ)がついてくるけど、普通の家のゴハンは、スープを作れば、スープだけでメシを食い、何かオカズを作れば、そのオカズだけでメシを食う。

日本で言うとこの味噌汁みたいなのをオカズの他に作るという文化は無い。


私も日本で子供の頃は、そんな感じだったので、大きな驚きは無いけど、ゴハンのオカズにならなそうな物だと、メシを食うのが大変だたりする。


ランチタイムが終わって15時になると午後のメリエンダの時間だ。

菓子パンを食べたり、ハロハロ食べたりする。


また夕方になると、ディナーのお時間になる。

2〜3時間おきに何か食う時間になる。

糖尿を患ってる私にこの食文化は結構ツライ。


早々に死ぬんじゃないかと思っていたけど、実際にはウンコ抑制の為もあるが、あまり量を取らない。

あまり食べなくても、腹が減る前に、また次の食べる時間が始まる。

また、ちょろっと味見程度に食べる。

という食生活をしていたら、フィリピンの暑さも手伝って、みるみる身体がスリムになっていく。

最初は糖尿が悪化して痩せてるんじゃないかと思ったけど、日本にいる時より体調がいい。

フィリピン人は子供がそのまんま大人になった感じの人で溢れている国だ。

だから基本的に野菜嫌いや偏食の人が多い。

野菜が入った料理でも、キレイに野菜を避けて食べる人も多く見かける。

この傾向は貧乏人に多い。

逆にカネ持ってる奴は、ベジタリアンを気取る奴もいたりする。


フィリピンの食事が合わないという日本人もいるだろうけど、私の健康にはしっくりくる食生活リズムだった。

腹が減る前に、味見程度だけ食べる。

1日中、何かを食べている気分だけど、実際には少量しか食べていなかったりする。

著者のAkiraさんに人生相談を申込む

続きのストーリーはこちら!

7.フィリピンにきて…

著者のAkiraさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。