7月の3話 フランスに来た理由1

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帰りの飛行機の中、私はボスに、11月からの自分の進路を相談した。ボスはちょっと困った風だった。理由は恐らくこうだ。私は、博士後期過程の学生として、今ボスのところでお世話になっている。通常、博士の学生と言えば、基礎知識、専門知識は大方身に付いており、研究は大体自分で進められるものだ。しかし、私は、修士と博士で専門を変えたこともあり、知識やスキルはまるで素人なのだから、無理もない。。私も自分自身で「知識に自信が無い」と言ってきたし、ボスもこれまでの数ヶ月で、本当に何も無いな、と理解したに違いない。

 ボスは言った。

 「I'm curious.

 どうして、日本の先生が、私を博士学生として受け入れたのか、どうして、博士から専門を変えるなんてことが許されるのか。だって専門性の無い人に3年で博士号を取らせるなんて無茶だから。それに、そう言ったときのボスの表情や語気に、私は、いつもとは違う、何か、本気の感情を感じた。きっと、「一度引き受けたし、悪い子じゃないし、他に面倒見る人がいないから見ているけど、どうするつもりなんだ、コイツ」、と普段思ってくれてるんだろうな、と勝手に思った。

 

 私は、ここが話すチャンスだと思った。幸い、つい1週間ほど前に、英語の発音に自信がついたばかり。実はずっと、せっかく近くにいるのだから、ボスが何を考えている人なのか知りたいと思っていたし、自分の気持ちも話したいと思っていたからだ。私は勇気を出して、こう言った。

 「If you are curious about my story, I can explain  it to you. 」

 ボスは、聞こうじゃないか、という態度を見せた。

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7月の4話 フランスに来た理由2

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