8月の1話 ボスがバカンス

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8月いっぱい、ボスがバカンスに入った。2度目の海上調査から帰った1週間後だった。その間に、私は書きためていた自分の論文をボスに送り、コメントをもらった。ボスは沢山の、沢山のコメントをファイルに書いてくれて、更にそれを口頭でも説明してくれた。ボスの話は本当にとてもドラマティカルで、クレバーで、物事がクリアで、筋が1本通っていて、ブレがないのだ。「今言った話を全部覚えておく必要はない。殆どのことは既にファイルにメモしてあるからね。じゃないと忘れちゃうよね。僕も忘れるし。」 そのメモは、ところどころタイプミスもあって、早い時間でボスがこの仕事を終わらせたのだ、と思われるものだった。有能なのだ。

 ボスがいない1ヶ月間、私は論文への修正プラス、先行研究を集め、読みまくった。同僚の人に、論文読み過ぎじゃない!? といわれるほど、机に積み上げていた。論文への修正がまだ十分ではなかったが、先行研究を読むことで大体自分の研究分野の下地ができ、精神的に楽になった。

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9月の1話 ボス帰還

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